第29話 講習会④
「軽く陣形も説明したところで、次はポジションの説明だ。まずは最前線から説明していく。最前線の2人を『前衛』と呼ぶ。前衛1人目はヴァンガード(突撃前衛)。切り込み役だな。主に突撃種との混戦に対処するから、VIT(耐久)とAGI(敏捷)が高水準の人間が対応すべきだ」
(なるほど。敵群をかき回して、注意を引く囮役か)
「前衛2人目。こいつはラッシュスイーパー(突撃掃討)。こいつも敵群に突撃はするが、ヴァンガードが囮役をしてる間にサイドに回り込んで攻撃をする役割だ。ヴァンガードと比べてより攻撃的なポジションとなる。STR(筋力)もしくはINT(魔力)とAGI(敏捷)に優れた奴が適任だ」
続いてバオブーンは2段目、真ん中の2つの丸印を指さす。
「真ん中の2人は中衛。1人目はインターセプタ―(迎撃中衛)。前衛のように極端に敵群には突っ込まないが、ある程度接近した状態から敵へ攻撃することを主な役割としている。ラッシュスイーパー同様、ヴァンガードが引き付けている所をサイドから叩く。物理型のインターセプタ―ならヒット&アウェイ。魔法型なら中衛の距離感のまま攻撃魔法って感じだな。よって、全体的な能力の高さに加え、STR(筋力)やINT(魔力)のような攻撃性能が重要視されている」
(誤射しないように前衛の動きを予想しないといけないんだ。バンバン攻撃魔法を使えばいいってわけじゃない……難しいな)
「中衛2人目はブラスター(制圧)。インターセプタ―よりも後方、後衛に近い位置で戦うことになるから魔法型が努めることになる。圧倒的なINT(魔力)はもちろん、様々な状況に対応するため、できる限り魔法の種類が多い奴が適任だ」
(能力値的には、このポジションが合うかなと思ったけど、魔法の種類か……。帰ったらリセチに攻撃呪紋を2つ買っていいか聞いてみようかな?さ、さすがに怒られちゃうかな)
「では、ここから後衛の説明だ。後衛1人目はガード(後衛守護)。こいつは前線の攻撃には参加せず、後ろに控えるサポーター(支援・回復)に敵の攻撃が行かないように、警戒するポジションだ。飛行種の強酸攻撃を主に防ぐことが多いだろうな。食人巨蟲の攻撃は全て物理系だから、とにかくVIT(耐久)が高いやつを選べ」
(サポーターってきっとリセチのポジションだろうから、それを守るガードは重要だな)
「後衛2人目はサポーター(支援・回復)だ。ここはさすがに分かるな?しかし、雇う時はこいつの待遇は良くしておけよ?てめぇらのような脳筋には分からないだろうが、支援タイプを疎かにしているパーティで活躍している奴らは見たことがねぇ!この世界で生き残りてぇなら必ずここに力を入れろ!……と、まぁ、なんだ。熱弁してみたが、俺も支援の重要性に気付いたのは、多くの仲間を失ってからだ。てめぇらにはそうなっては欲しくない」
バオブーンの表情が僅かに緩み、悲しげな表情になった。
『極東領域』は剣神スザクという物理系能力を極めた男が収める領地。
絶対的なカリスマ性を持つスザクに憧れて、『極東領域』で活動するほとんどの冒険者が物理型である。
絶大な人気を誇るスザクは、事あるごとに物理型が魔法型より優秀であると主張しているため、その発言を聞いたスザクに憧れを持つ冒険者は、魔法型冒険者に対し、強い差別意識を持つようになった。
そんな『極東領域』では現在、魔法型冒険者だけでなく、サポーターすら加入させない超攻撃型パーティが流行っている。
ダメージを貰う前に圧倒的火力で叩く。もし被害があっても回復アイテムで補う。『極東領域』のパーティ編成は、年々過激さを増すばかりであった。
(村長も言ってたけど、やっぱりバランスは大事だよね。僕とリセチは魔法型だから逆に物理型をパーティに組み込みたいな)
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
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