2.LAMB/ラム(原題:Lamb)

私自身よくYouTubeなどでホラー系の映画の予告を漁ったりするんですけれども、このLAMBに関しては公開前の予告を見た時からずっっっっっっっと見たい!!!!と思っておりました。

その割にタイミングが無くて映画館に見に行けなかったんですけどね・・・。某VODサービスで配信が始まって嬉しくて嬉しくて視聴しました。


一言で言うと、とち狂ったネイチャースリラーです。

個人的にはもう最高でしか無かったです。ボキャ貧ですみません。


ホラー映画やスリラー映画も大好きなのですが、18禁のスプラッターなんかは「痛い痛い痛い!!」ってなっちゃうので15禁指定の作品もものによっては苦手だったりするタイプの人間なんですよ。

なのでこの作品も15禁表記だったのである程度覚悟して身構えながら見たものの、えぐいシーンは思っていたよりもほぼほぼ無かったです。強いて言うならラストら辺で喉を撃たれるくらい?かな?

あとは性描写の面で年齢指定がついたのかなー、と。女優さんの胸が割とガッツリ映ります。でもラストシーンへの解釈に繋がる重要シーンだったんだなと私は解釈しています。




あらすじとしては、主人公はアイスランドの山間部に住む羊飼いの夫婦。

妻・マリアと夫・イングヴァルは、数日間の間数頭の羊の出産に立ち会う中、ある一頭の羊から衝撃の生き物を取り上げる。

それは、羊と人間の体の特徴の両方を併せ持った獣人の子どもだった。

マリア達は戸惑いながらも過去に最愛の娘を亡くしていた事もあり、その生き物に「アダ」と名付け、自分たちの手で育て始めるが、ある日イングヴァルの弟が訪れ、囁かな幸せが崩れ始める……。



という流れです。

私はこういう「どんな生活してたらこんな発想に行き着くんですか???」といった感じの奇妙すぎる設定のスリラーが本当に大好物です。邦画でやってしまうとB級どころかC級とまで言われかねない設定でも、洋画だと宗教観とかも考えたら変な説得力があるような気がするんですよね。


話題になったミッドサマーと同じくA24という会社が配給権を獲得した影響か、地上波で宣伝CMが流れていたんですよこの作品。CMにうっすら映ってはいたんですが、獣人であることからアダは二足歩行する子羊です。

ではアダは一体何者なのか? 一体なぜこんな生き物が生まれたのか?


予告映像を見てから本当に物凄く楽しみにしてたのですが、本編の冒頭シーンである程度察しは付きます恐らく。なんかなんとも言えない獣らしき声と大きめの足音が入るので。少なくとも化け物なんだろうなって。

でもそこから「じゃあどんな姿してんのかな!」ってまたワクワクしながら見れました。



さて。この映画、なんとアイスランド・スウェーデン・ポーランドというヨーロッパの三国が合同で制作した作品なんです。なので広大で穏やかな大自然の映像が非常に綺麗で素晴らしいです。

そしてそんな美しい自然の中でじわりじわりと来る恐怖。堪らなく好きです。



見ていて絶妙にアダを可愛いと思いきれない自分がいました。確かに仕草とか可愛い…? 可愛いのか?? ってなる感じ。人によっては可愛いと感じるのかもしれない。

ちなみにワンちゃん猫ちゃんも出ます。洋画のホラーとかあるあるで大体動物は犠牲になりがちですが、LAMBでもワンちゃんの方は犠牲になってしまいます…。

とはいえ殺害シーンは無いし、多分死んじゃったんだろうな…ってなっただいぶ後で遺体のお人形さんが出るくらいです。ぐちゃぐちゃでも無いからたぶん苦手な人でも大丈夫。可哀想ってなっちゃうはなっちゃうと思うんですが。


あえてネタバレをするなら化け物がマリア達の住んでいる家の付近まで下りて来るので、そいつに立ち向かっちゃうんですね。

ただ化け物の姿は本当に最後の最後まで全貌が明らかにならないので、直接的な殺害シーンも無かったという仕組み(?)です。



全体的に嫌な雰囲気で恐怖を煽るだけ煽っておきながら何もないのか…って安堵させる、の繰り返しという何とも良いスリラーですよ。その代わり緊張感で結構疲れちゃうかもですが。

スリラーなのかホラーなのか中途半端な位置付けの作品にはこれを見習って欲しいと思ったレベルです。



ちなみに私はミッドサマーも視聴済みですが、正直ミッドサマーの方は宗教的な知識が足りなかったせいか腑に落ちない事が多すぎて「結局何が怖かったんだろうこの作品」となってしまったので、それと比べたら断然分かりやすいお話でした。ただ若干意味深で分かりづらいシーンもちらほら。

特にラストシーンはそこそこ頑張って考察しないと唐突に感じてしまうと思います。


とりあえずはマリアという名前と羊からキリスト教モチーフかな?と思いきやギリシャ神話モチーフなんですねこれ。

人間の罪深いエゴが色濃く描かれているなと。

謎の生物を自分の子どもとして育て始め、生みの親(雌羊)を遠ざけ、あまつさえ殺してしまうマリアと、初めはアダを邪険というか複雑そうにしてた癖に急にアダを可愛がり始めるイングヴァル。恐らくイングヴァルに至っては子どもというよりもペット感覚だったんじゃないかなと思えました。



タイトルの通り羊がいっぱい出てくるし、一見可愛いというか癒しではあるんですけど、画面が少し薄暗い中で沢山の羊が視聴者の方(言わばカメラ目線)を見る所は結構不気味で思わずニヤけました(笑)

動物園とか家畜として飼われてる羊を見ても可愛いなーとかしか感じない人が大半だと思いますが、だからこそ気味悪い味が出てるのが良い。



宗教や神話がモチーフとして盛り込まれた作品の中ではまだ比較的分かりやすいと思いますし、程よく狂ったシュールコメディー感も入ってるので割とおすすめしやすいです。あとやっぱ単純に動物は可愛い。



そして全体的にセリフもあんまり入っていないので、字幕が苦手・・・という人でも割と見やすいはず。



全体的にじわじわ来る恐怖感と癒しが絶妙なバランスでマッチした作品で個人的には大満足でした。

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独断と偏見の映画レビュー 星海 @hoshi-umi31

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