DIVE Deeper into the TRAP

鳴海キットたちは、廃墟のビルを抜け出し、次のステージへと足を踏み入れた。彼らが辿り着いたのは、無数の道が交差する迷路のような地下施設だった。薄暗い照明が怪しげな影を作り出し、重い空気が漂っている。どこかで水が滴る音が響き、異様な緊張感が場を支配していた。


「ここも罠だらけだろうな…」


キットは心の中で呟きながら、目の前に広がる迷路を観察した。地下施設は複雑に入り組んでおり、ただ歩くだけでも危険が伴うことが容易に想像できた。プレイヤーたちは二手に分かれ、慎重に進むことにした。キットは、先ほど出会った仲間たちと一緒に、右側の通路を選んだ。


「皆、気をつけろ。どこに罠が仕掛けられているかわからないからな。」


キットは低い声で仲間たちに警告する。彼らは互いに距離を保ちながら、ゆっくりと歩みを進めた。通路は狭く、頭上にはパイプが張り巡らされていた。そのパイプからは時折、蒸気が漏れ出し、プレイヤーたちを驚かせた。


「ここは…一体何の施設なんだろう?」


仲間の一人が不安そうに呟く。しかし、その答えを知る者はいなかった。何が待ち受けているのか、何を目的とした場所なのか、すべてが謎に包まれていた。


進んでいくうちに、キットは通路の壁に奇妙なマークを見つけた。それは、古代の文字のようにも見えるが、何を意味するのかはわからない。だが、そのマークが特定の場所でだけ見られることに気づき、キットはそれが何かのヒントであると直感した。


「このマーク、何か意味があるのかもしれない。」


キットはそう言いながら、マークの方向に進むことを提案する。仲間たちも彼の意見に同意し、慎重にその先へと進んでいった。やがて、彼らは広いホールに出た。ホールの中央には、大きな機械が設置されており、その周囲には複数のスイッチが並んでいた。


「これが…次の罠か。」


キットは機械に近づき、その構造を観察する。スイッチを操作することで、何かが起動するのは明らかだったが、それが安全かどうかは誰にもわからない。仲間たちの視線がキットに集中する。彼は一瞬、考え込んだが、やがて覚悟を決めた。


「俺が試してみる。みんな、少し離れていてくれ。」


キットは一つのスイッチに手を伸ばし、ゆっくりと押し込んだ。その瞬間、機械が低い音を立てて動き始めた。ホールの天井から何かが降りてくる。巨大な金属製の扉が開き、新たな通路が姿を現した。


「次の道が開いたぞ!」


仲間たちが歓声を上げる。しかし、その喜びも束の間、再び罠が牙を剥いた。通路が開いた瞬間、床が激しく揺れ、機械の一部が暴走を始めた。何本もの鋭い刃がホール全体に現れ、無差別にプレイヤーたちを襲い始めた。


「くそっ!逃げろ!」


キットは叫び、仲間たちに警告する。しかし、逃げるのも容易ではない。通路への道は開いたが、そこに辿り着く前に命を落とす危険がある。キットは必死に避けながら、仲間たちと共に新たな通路へと向かって走り出した。


混乱の中、何人かのプレイヤーが罠にかかり、悲鳴を上げながら消えていった。キットはその悲鳴を耳にしながらも、立ち止まることはできなかった。仲間たちと共に、辛うじて通路にたどり着いたとき、ホールは完全に崩壊し、背後に大きな音を立てて瓦礫が崩れ落ちた。


「なんとか…生き延びたか。」


キットは荒い息をつきながら、仲間たちの顔を確認した。全員が無事だったわけではないが、彼らは生き残った。そして次のステージへと進む道が開かれたことに、安堵とともに新たな覚悟を抱いた。


「このゲーム、どこまで続くんだろうな…」


新たな通路に踏み込んだ鳴海キットたちは、目の前に広がる景色に息を呑んだ。廃墟の都市や迷路とはまったく異なる、広大な地下空間がそこに広がっていた。無数の柱が立ち並び、天井には見たこともない形状の機械がぶら下がっている。その光景はまるで異世界のようであり、この先に何が待ち受けているのか、誰にも予想がつかなかった。


「ここは…どこなんだ?」


キットは思わず呟いたが、答えは返ってこない。仲間たちも、この異様な光景に圧倒され、言葉を失っていた。地下空間には謎の光源があり、柔らかな青白い光が空間全体を照らしていた。それが異様な静寂を一層強調しているように感じられた。


「気を抜くな。これまで以上に危険な罠があるかもしれない。」


キットは仲間たちに声をかけ、慎重に前へと進み始めた。足元には奇妙な模様が刻まれており、それが何かの意味を持つものかどうか、キットにはわからなかったが、直感的にそれが重要であることを感じた。


進んでいくうちに、キットたちは地下空間の奥に巨大な扉を見つけた。扉には複雑な仕掛けが施されており、すぐに開くものではないことがわかった。キットは扉を調べながら、どうすればこれを開けることができるのか考え始めた。


「またパズルか…?」


キットは一つ一つの仕掛けを慎重に操作し始めたが、今回はこれまでとは違う難解さがあった。扉に刻まれた模様が次々と動き出し、彼らの前に新たな謎を突きつけた。間違えれば即座に罠が発動するというプレッシャーの中、キットは冷静さを保ちながら解決策を探った。


そのとき、仲間の一人が扉の一部に触れた瞬間、扉全体が震えだし、耳をつんざくような音が鳴り響いた。キットたちは反射的に身を引いたが、その音が何を意味するのか理解する暇もなく、地下空間全体が揺れ始めた。


「何だ、これは…!」


揺れが激しくなり、柱が崩れ落ちる音が響く中、キットたちは咄嗟に逃げ道を探した。しかし、巨大な扉が徐々に開き始め、そこから強烈な光が漏れ出してきた。まるでその先に何かが待ち受けているかのように、その光は彼らを誘い込もうとしているかのようだった。


「行くしかない…!」


キットは仲間たちに声をかけ、開かれた扉の向こうへと足を踏み入れた。眩い光の中、彼らは未知なる領域へと突入した。その瞬間、彼らの視界は一気に暗転し、意識が遠のいていった。


目が覚めると、キットたちは全く違う場所に立っていた。そこは広大な砂漠地帯であり、灼熱の太陽が彼らを照りつけていた。まさに「UNKNOWN」の名に相応しい、これまでのステージとは全く異なる環境が広がっていた。


「ここは…一体…?」


混乱する仲間たちを前に、キットは冷静さを保とうと努めた。だが、この異常な展開に、彼自身も戸惑いを隠せなかった。新たな試練が彼らを待ち受けていることは確実だったが、それがどのようなものかは全く予測がつかなかった。


「進むしかないな。」


覚悟を決めたキットは、砂漠の先に見えるわずかな影を目指して歩みを進めた。これまでの罠とはまるで異なる、未知の恐怖が彼らを待ち受けていることを感じながら、キットたちはさらに深く、この異世界へとダイブしていった。

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