KIT！DIVE　in the TRAP！

白雪れもん

放課後のゲームセンターは、いつものように賑わっていた。鳴海キットは、友人たちと最新のアーケードゲームを楽しみながら、いつもの日常を過ごしていた。彼は学校では普通の高校生だが、オンラインゲームの世界ではその名を知らぬ者はいない天才ゲーマーだった。

「今日も負けなしだな、キット。さすがだよ！」

友人の一人が感心しながら声をかけると、キットは軽く肩をすくめて笑った。そんな何気ない瞬間、彼のスマホが振動し、画面に奇妙なメッセージが表示された。

「TRAPへようこそ。選ばれし者よ、真のゲームへダイブする準備はできたか？」

そのメッセージには、見慣れないアイコンと共に、キットにだけ届いた特別な招待状が添えられていた。普通ならスパムか何かと無視するところだが、ゲームに関しては好奇心旺盛なキットは、すぐに興味をそそられた。

「新しいVRゲームか…これは面白そうだな。」

キットは迷わずそのリンクをタップし、家に戻ると早速VRヘッドセットを装着してゲームを起動した。しかし、その瞬間、彼の視界は真っ白に染まり、意識が遠のいていく感覚に襲われた。

次に目を開けたとき、キットは全く異なる場所に立っていた。目の前には広大な廃墟のような都市が広がり、空は鉛色の雲に覆われていた。現実世界と見紛うほどのリアルな映像だが、キットはすぐにこれがゲームの世界だと悟った。

「ようこそ、TRAPの世界へ。」

突然、頭上に巨大なホログラムが現れ、謎の存在が話しかけてきた。彼は自己紹介をせず、ただ淡々とゲームのルールを説明した。ここは「TRAP」と呼ばれる仮想現実の世界であり、プレイヤーたちは命を賭けた罠を潜り抜け、生き残ることを目的とするという。

「命を賭ける…？ただのゲームじゃないのか？」

キットは混乱しながらも、ゲームマスターの言葉がただの脅しではないことを感じ取った。周囲を見渡すと、他にも数十人のプレイヤーが同じように戸惑いながら立ち尽くしていた。

「さあ、始めよう。時間は有限だ。」

その言葉と共に、足元に仕掛けられた罠が突然作動し、鋭い刃が地面から飛び出してきた。咄嗟に反応したキットは、なんとかその罠を避けたが、他のプレイヤーたちは次々と捕まり、消えていった。

「これは…本当にやばい！」

キットは心の中で叫びながら、全身にアドレナリンが駆け巡るのを感じた。この世界で生き残るためには、冷静さと瞬時の判断が求められる。彼は改めて覚悟を決め、この異常な状況に挑むことを決意した。

「いいだろう。どんな罠でもかかってこい！」