第2話失礼な事を言ってしまった

あれは、20歳前後の話し。大学を中退して、とりあえず地元に戻り暫くアルバイトして、就職しようとした。3年頑張って、名古屋に来たのは22歳の始め。

その、アルバイト時代の話し。

当時、僕は昼ガードマンとして、夜塾講師として藻掻いていた時期。

その日は、どちらも休みの日だったので、平日の朝からパチンコを打つ。

羽根モノ、ファインプレーだった。

安い銭で食いつき、既に4箱積んでいた。

隣の若いお姉さんもそれくらい。

お姉さんとお話ししながら打っていた。

「お姉さんは、何の仕事ですか?」

「……」

お姉さんは黙り、打ち続けている。

僕は知らなかったのだ。

後で話しを聴けば、その女性は足が不自由で、パチンコで生計を立てていることを。

僕は猛烈に反省した。

これからは、人様の職業を尋ねる事は絶対にしないと。


僕は、未だに人から何の職業ですか?と問われたら、「鉄砲の通信販売」と答えて先生に許してもらう。

中でも、給料はいくらですか?と、聞かれたら、「あなたの3分の1です」と言って誤魔化す。こんな質問に答える義務は無いのだ。


しかし、ファインプレーを打ちながら職業の話しをした僕は非情に反省し、後悔している。

その翌日から、お姉さんの姿は見えなくなった。多分、ウザいからネグラを変えたのだろう。

僕もその店に行くことを辞めた。罪悪感を感じて。

そうか、仕事をしないでは無くて、出来ない人もいるのかと初めて知ったのである。

パチンコ屋には、色んな人生を背負った人間の集まり。

パチンコで人生を狂わせた人も多くいる。中には手堅く勝って生計を立てる人もいる。

僕はほんのお遊び。

一時期、羽根モノで飯を食べていたが、その生活も半年で終わった。

22歳で名古屋に出てきたが、約1年半ハンドル工場、ガードマン、塾講師、運送屋でバイトして、就職した。

スロットが4号機時代で、金の動きがでかかった。

そんな時、ファインプレーを打つと昔の失敗を思い出す。

あのお姉さんは、元気だろうか?とか。

今は、僕が障がい者になってしまった。収入が極端に減ったので、昔の様にパチンコ、スロットは打てない。

飲んだ方がマシだ。しかし、たまには遊びたい時がある。


次打つ時は、ネオモンスターハウスと決めている。

負けても良いから、1万円勝負してみたい。

でも、動画を見ると荒い台だ。大勝ちか、血を吐く大敗か。

だが、金額を決めているので楽しめたらそれで良し。

そして、隣の席の人とは絶対に話さない。今、透明シートがあるから大丈夫だが。

ファインプレー設置されてる店まだあるのかなぁ?

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