創作すること
知らない人の人生を覗くことは楽しい。例えばそれは、エッセイであったりラジオであったり、最近では個人が発信する動画なんかもそれに当たるだろう。誰かの日常は別の媒体になる時、ある程度の手を加えられて、私の前に出される。私はそれを消費する。
けれどそれにも限度がある。その手を加えられる前の、取りこぼされたものを知ることはできない。それがどうしようもなく寂しい。
私は私の人生しか生きられない。それはあまりにもつまらなくて、たかだか一個人にはどうしようもない絶望だった。私でない誰かになるためにはどうしたら良いのだろうと考えた時、人は創作を始めるのだろう。多分。
現実がつまらないから、創作をしている。あの路地裏に入るために創作をしている。
自分を救うために、創作をしている。
どうにかして切り離したい感情があるから創作をしている。
どれほど胸を焦がした激情も、文字にすれば他人事になり、やがて架空になる。私の枷がいつかあなたの糧になることを祈っている。
現実を変えたいから、現実が疎ましいから、現実がどうしようもないから創作をしている。
物語の力を信じている、物語の力を過信している。その一言であなたを傷つけてみたい、一ページであなたを絶望の淵に叩き落としたい。その先で見つけたうつくしいものを、あなたと共有したい。ままならなさへの復讐と、未来への祈りを込めて、創作をしている。
私の世界の女の子たちはどこへでも行けるし、どんなものにも脅かされない。天国と地獄もあなたの思いのまま。
あなたたちがのびのびと生きていけるように、願っている。
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