第2話

 友人の門出を上手に祝福できない。

  

 結婚という一つの門出は、一人の人間と人間が出会い、共に生きることを誓うとても尊い儀式だと思う。しかし、それが成立するには『男女の恋愛』という要素が必要不可欠だ。 現在の日本では同性同士の結婚が出来ない。愛し合うふたりが、性別によって阻まれる。そんな社会にあって、幸福を享受する二人を素直に祝福できない。友人の恋した相手がもしも同性だったなら、今日という幸福は訪れなかっただろう。

 彼らはたまたま異性同士だからこの幸福を享受している。そんなどうにも斜に構えた考えが頭に浮かんで、友人の晴れ姿を見るたびにノイズが走った。祝福したいと思うと同時に、彼らにはどうしようもない、社会への怒りみたいなものを抱いた。

 

「ひとりよりも二人の方が優れている、(中略)倒れても起こしてくれる友のいないものは不幸である」という聖書の言葉がある。

 これは、ここからともに生きる二人に送る言葉としてはこれほどないまでに適切で、これからも人生を一人で生きるであろう私にはひどい罵倒のように聞こえた。もちろん、そんなのは過剰なまでの被害者意識の賜物だろう。友がいないわけではない、けれど私を支えてくれるような──パートナーのような存在、はそう居ない。

 神様、もしも全ての人の祈りを聞くのならお答えください。ひとりで立ち続ける方法を。同性だからと言うことで排斥される世界は正しいのですか。神様、もしもいるのなら。

 

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