三
ラーメン屋に着いた。今日は、あの時のように行列はできていなかった。木製の引き戸の引き手に右手を引っ掛け、ガラガラと開けた。いらっしゃいませ、と凛々しい声が店内に響いた。
お客が数組と、店員が二人。私は、カウンターの席に腰掛け、塩ラーメンを頼んだ。
お待たせいたしました、と店員が塩ラーメンを運んできてくれた。私は小さく頭を下げ、ラーメンに手をつけた。あの時見たような行列ができる理由が分かるほど美味しかった。美味しいものを食べている間は、自分の左腕がないことも気にせずに済んだ。それが良かった。美味しいものを食べてまわりたくなった。だから、早く職を見つけて稼ぎたいと思った。
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