或る朝、退院が決まった。医者と看護婦に感謝を伝え病院を出た。どうも、天気が私の退院を祝っているような快晴で気分が良かった。まだ、左腕には痛みが残っている。どうという事はない。生きているのだ。

 私は、病院のベッドから見たあのラーメン屋さんへ行こうと思った。その道のりで、通行人は私の左腕がないのをチラチラとすれ違い様に見ている。気には障らなかった。人はそれぞれ、人と違うところがある。ただ、私の場合、それが外見にあるだけの事だと気を強く持った。失った左腕を通行人に見られ気が滅入るようではいけない。歩くことすら儘ならない。

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