晴れ間のペトリコール
蒼井 狐
一
私は左腕を失った。絶望し、どうやって生きていけばいいのか分からなくなった。けれども同時に、利き手を失わなくて良かったと、安堵もした。病院のベッドから街並みを観察していると、ラーメン屋さんに沢山の人が並んでいた。行ってみたいと思った。先程まで左腕を失ったことに絶望し、憂鬱としていた自分が、もうすでにそのことを忘れ、行列のできているラーメン屋さんに行ってみたいという気持ちに駆られていることを思うと、私は案外ポジティブなのかもしれない。気を確かに持ってかかれば、すぐに稼ぎもできて、どうにかなるだろうと自信が湧いてきた。
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