第15話 魔法

氷龍の氷牙の封印を解いてから少し、俺は鈍った筋肉を戻すために地道にトレーニングを続けたり、変わり果てた姿になった両剣を見て珍しく膝から崩れてキャラ崩壊しかけたりした。その時にグラキエスはありえないほど焦っていた。


そして俺とテオは氷牙とあることについて話していた。



「気になってたんだが、これなんだ?」


「僕も気になってた!氷牙の封印解いた後に気がついたらあったし」



俺とテオの体には龍のタトゥーみたいなのがあった。俺は左側、テオは右側にタトゥーがある。



「あーそれ、我との契約した証だ。本来なら体全体に出てくるが2人で契約したから半分ずつって感じだ」


「半分ずつ・・・」


「兄様とお揃い!嬉しい!」


「テオ、そんな楽観的な話じゃない。契約なら、何か対価や条件があるだろ?」


「あるが、まだ決めてない」


「それでいいのかよ」


「実際は駄目だがな。今決めればいいか、お前らは我に何を差し出せる?」



氷牙は俺らを指差しながら口角を上げる。俺が差し出せるものとテオが差し出せるもの・・・。



「んー僕は家族以外なら差し出せる!」


「テオ⁉︎」


「だって父上も母上も兄様もじいやもメアリも、いちよグラキエスも大切な家族だから。それ以外なら差し出せる!」


「成程、ならお前の体を寄越せ」


「分かった!」


「テオ⁉︎おい氷牙、お前何言って!」


「安心しろ、別にのっとるというわけではない。今の我は封印されていた影響でかなり力を失っているからの。だから力を取り戻すために眠っている間はコイツの体で休ませてもらおうと思ったわけだ」


「なるほど・・・それは俺じゃダメなのか?」


「お前からは既に対価は貰っている」


「は?」


「潰れた目玉、あれを貰ったからな」


「そんなのでいいのか?」


「視力はどうにも出来ないが鑑賞用には綺麗な瞳だったからの。それくらいお前の眼に我は方があると思ったからいい」


「そんなことある?」


「氷牙、契約は成立?した」


「したから今日から一緒に寝るぞ」


「はーい」



俺は何故が児ポ案件な気もしたがこの世界でその法律が適用されるかわからなかったので何も言わなかった。もし、テオに何かしたら氷牙を殺す。それだけは胸に誓った。



「さてリオン、左目の調子はどうだ?」


「痛みはもう無いが馴染んだ感じはしないな」


「ならもう少し包帯をしておこう。その目は、馴染まないと大変だからな」



氷牙は意味深なことを言ったが俺とテオにはどういうことかまだ理解できなかった。


しばらく話をした後、氷牙が手を鳴らして話を変える。契約の話も本題だがここからまた別の話が始まる。



「さて、これから2人に魔法を教えよう」



そう!氷牙は世界の魔法にかなり熟知しているので俺とテオの魔法の先生になる。それと武術や剣術なども得意らしく戦闘関連もグラキエスと一緒に教えてくれることになった。これは父上がお願いしたことでまさか氷牙が快諾してくれるとは思わなかったらしい。



「さて、まずは魔法について説明しよう」


「はーい」


「・・・」


「魔法は体内に存在する魔力を使って攻撃したり防御したり環境を変えたりするような技?みたいなことを総称として言う。また、魔素という自然に存在する魔力を使って魔法を使うことを魔術っていうよ。これは別物だから要注意」



へぇー、確か原作だと魔法についてしか説明なかったのに魔術とかあったんだ。体内と体外にある魔力を使って魔法を使うのにも言い方が違うんだ。



「魔術は自然の環境由来の魔素が存在していて、ウィンタリアだと氷魔素や水魔素などが多いな。逆に火魔素はほとんどないに等しい」


「んーと、その環境の魔素の種類が魔術に関係してるってことかな?」


「テオ、頭いいな。そういうことだ」


「やった!」


「まぁ、お前ら2人とも魔力はあるし魔術は魔力が底をついた時に使えたらいいから一旦後回しにするか」



魔術は切り札って感じか?後で魔術に関する書籍があったら読んでみよ。なんか面白いものとかありそうだし。



「さて、次に教えるのは魔法式だ。魔法式には主に4つあってそれぞれ、西洋式・南洋式・極東式・東洋式がある。これは血筋に左右されるな」



そう言って氷牙は4枚の紙をテーブルに置いた。紙には別々の魔法陣が描かれてる。なんか、ファンタジーっぽい!



「この魔法陣に魔力を流してみろ」


「え、やり方わからない」


「んー、なら胸の辺りを意識して」



氷牙はテオの胸に手を当てて説明する。おい、実演形式かよ。



「胸から肩を通して手のひらから水を出そうって意識すれば魔力は流れる。ただ、流しすぎると魔力がなくなるから、ティーポットからカップにお茶を注ぐみたいに意識するといい」



あまりにも的確な説明をする氷牙に感嘆する。テオは目を閉じて意識を集中すると紙に小さく火がついた。



「兄様!僕魔法を使えた!」


「そうだな、すごいぞ」


「まだ魔力を流した程度だがな・・・これは東洋式か。東洋式の適性はあまり無いな」



炎のを大きさが適性があるか無いかが分かるのか。俺もやってきるか。そう思って南洋式を手に持って魔力を流す。すると、何故か俺は炎ではなく紙自体が凍った。凍った????



「兄様、なんで凍って?」


「知らん…」


「説明していなかったけどリオンの左目は魔眼を移植したからの」


「魔眼?」



ま、魔眼ってあれだよな?あの魔眼だよな?



「魔眼は魔力の籠もった目のことを言うんだ。魔眼は先天的なものとリオンみたいに移植したり魔法を直接食らったときに稀に魔力を吸収して魔眼になる後天的なものがある。お前は我の魔力から作った魔眼を入れたから後天的だな」


「じゃあなんで、炎が氷に?」


「その魔眼の種類が《氷源の魔眼》ってやつでただ魔力を流すと氷になるってやつだからね。だから足元に魔力を流して広げれば辺り一帯が氷の大地になる」


「俺の目をそんなものにするな」


「手元にあったのがそれだけだし、あるとかなり便利だぜ。制御さえ出来ればかなり有能だし」


「ここに剣があったらそれで殴ってた」


「兄様落ち着いてください!あと剣は殴るものではなくて切るものですよ!」



コイツ、封印されたせいか色々とぶっ飛んでるな⁉︎テオに抑えてと言われながら、魔法陣に魔力を流していく。全ての魔法陣に魔力を流し終えると結果はハッキリしていた。



「リオンは東洋式、テオは西洋式だな」


「えー兄様と別なの?」


「血筋によるからな。それに、テオは魔力が多いし西洋式の方がいいだろう」



あ、そこら辺はよく見てるんだな。氷牙はどこか掴めない性格をしてるしたまに使用人にセクハラしてはグラキエスに怒られてるのを見る。本当にそれでいいのかと思うところがあるけど、先生としては良い先生になるだろうなとどこか俺の中で確信していた。

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