自衛隊


日本の平和を守る軍隊


その自衛隊の本部


国の防衛省のトップから一報が入った


「一つの町が、突如現れた犬のような化け物に滅ぼされた。 現在、八賀町を侵略中、至急向かい、応戦せよ」


この一報を受けて、合計5つの支部が出動した



八賀町


「うわぁ…食べないでくれぇ、ぎゃぁぁぁ」


「きゃぁぁぁ」


惨劇である


次々と住人が殺され食べられていく


どうやら知能がない分、魔界にとっての兵として機能しているようだ


「なんと…とんでもない惨状だ」


迷彩柄の服を着て、銃を持った男性の兵が15人車で現地に到着すると驚きを隠せないでいる


「グルルゥ、ガウ!」


その時、1匹の魔犬が兵に襲いかかる


パァン!!


発砲音と共に魔犬は吹き飛び、その血をまき散らし散る


「あんた達! ここは戦場、気を抜くな!」


「す、すいませんでした、華姉さん」


「あんたらが殺されたら上司の私の顔が無いんだから…」


狂咲 華くるいざき はな


自衛隊の幹部クラスの兵


日本でもトップクラスの狙撃能力


驚異的な身体能力にその美貌びぼう


綺麗な黒髪、つぶらな瞳、筋肉質なボディー


最高である


そして、18という若さ


その実力だけで、圧倒的な年上の兵の上に立っている


人望もある


それを見たことで、華に惚れた魔族がいた


 「人間にもあんなましな奴がいたとはな、しかも女ときた。 最高じゃねぇか」


魔狼


魔犬の上位互換の存在であり、理性もあり強さも魔犬とは訳が違う


 「俺の相手もしてくれないか? そこの強そうな女」


 「あんたは、狼人間? お前も人間を殺してるやつか?」


 「このようにな」


 「おっと…」


 魔狼は、華の部下を殺しに走るが、華の銃弾が肩をかすり、足を止める


 「お前ら、逃げろ! こいつはお前らじゃ手も足も出ない、生き残りの国民の救助に当たれ!」


 「は、はい! 無事を祈ります!」


 魔狼の動きも華の対抗も理解できない部下たちは、自身を足手まといと判断し撤退した



  魔狼と華だけの空間


 「俺の動きを目で追えて、攻撃を当てるとは…おめでとう! お前は殺されない!」


 「褒めていただき嬉しいわね、殺されない、なぜかしら?」


 「お前は、俺の嫁となる、魔狼となりたいと言わせてやる、どんな手を使ってでもな」


 「魔狼? 化物に私がなるわけないでしょ?」


 「ほざいてろ、俺の名はディア、お前の夫の名だ!」


 「私は華! 国民のため、お前を殺させて貰う!」


 こうして、二人の戦いが幕を開けた


 恐らく、魔族と渡り合える一握りの人間が命をけて


 パンッ!パンッ!


 正確な銃弾がディアを狙う


 「っ、くそ…いくら早く動いても掠りはしやがる、こりゃゲシュタルト様が大喜びだぜ」


 「(早い…近接にチェンジ!)」


 かちゃ


 華が袖の中から出したのは折り畳みナイフ


 「近接も出来るやつの構え…お前、人間か?」


 「はっ!」


 華はナイフをディアに振りかぶるとそのまま足払いを成功させる


 「ちっ…無傷のまま、貰ってやろうと思ったのに、調子にのりやがって…」


 ディアはバク宙で後ろに下がると華が銃の引き金を触ろうとした瞬間には、華から銃を奪い、馬乗りになる


 「ふふっ、中途半端に強いとこうなる、どうせなら自分から嫁になりたいと言わせてやるよ」



  すると、鋭い爪で衣服を破り捨てられ、全裸にされる


 「な、何を!」


 「まずは大人しくして貰わないとな?」


 パン!パン!パン!パン!


 「ぅぐ…ぁぁぁぁああ、ぁぅ」


 「これでお前は動けないな?」


 華は両手両足を銃で撃たれ、動くことが出来なくなってしまった


 「俺しか考えれないようにしてやるよ? 大丈夫、心が折れれば楽しめる…」


 次の瞬間、華は肩を噛まれ、どんどん歯が入っていく


 「ぁぁ、あああ!」


 「ここで、サプライズだ」


 べたぁ…


 傷をまとうようなべたべたの正体はディアの唾液である


 「うぅ…」


 「なんとも言えない感情で意思が弱くなったな? 隙ありだ」


 チュッ


 から始まる、舌のはい回る音


 「あ、あ、(抵抗できない、悔しい? なぜだ、なぜ私は…)」


 「にやけてるぜ? 華」


 「(悪くないと思ってしまっている)」


 「もう、足掻いても敵わないだろ?」


 「はが...ほごひい…ふひへへ…(あぁ、もう良い…好きにして)」


 「ふふっ。 華、お前の心を壊してやる、覚悟しろ? そして、さっきのお前の部下を殺しに行こう? 共にな」


 「(そうだ、部下、あいつらの信頼が...)」


 「お前はほんとに慕われてるのか?」


 「(え?)」


 舌で、華の口内を乱しながらディアが言う


 「今から、良いものを見せてやる」


 ディアの指差した先には華の部下たち含む戦車三台がディアと華を囲む


 「華」


 戦車の中から、年老いたおじいさんが顔を出すとメガホンで叫ぶ


 「華殿、悪いがそのままその化物を離すな! 国民のため、殉職じゅんしょくせよ! 」


 「(う、うそ…嘘よ…い、いや、いやぁ…)」


 華は死の恐怖と仲間に裏切られた辛さが込み上げ、涙が溢れこぼれ落ちる


 「あのじじいがお偉いさんか? どうやら、華の部下も従うしか無かったみたいだな、だが一つだけ言えることがある」


 「うぇっ…ひぐっ…」


 涙が止まらず、ディアへの抵抗もやめ脱力してしまっている華にディアは言葉でとどめをさす


 「華はもう要らないんだ…この世界にな」


 「あ、あ、わあぁぁぁ!」


 華は壊れた


 涙が止まらず、ついに言葉を発した


 「ディ、ディア…じにだぐないよぉ…だすけて…」


 華は、涙で崩れた顔でディアに助けを求めた


 「承知した、華、俺のものを殺そうとする輩は俺が殺してやる。 お前は俺のために存在する、生きてる意味があるんだ、人間はお前の価値を分かってない」


 「ディ、ディアぁぁ…」


 華の心はディアに壊され、そしてディアに染められはじめている


 華の意思で


 「人間共、華は、この俺の嫁だ…殺そうとするなら命はないと思え?」


 その言葉を合図にディアは一台の戦車を一瞬でパンチで砕く


 「う、撃て、撃て!」


 ディアではなく、戦車2台は華を撃ち、華に直撃した


 「な…(しまった、不意打ちをくらった、俺を狙ったと思ったら撃つ方向を変えやがったせいで守れなかった…) くそが...ごめんな、華…」


 ディアは涙を流す


 「えらは…しが…す」


 「華!?」


 砲撃後の煙から出てきたのは、傷も完治していて無傷の華


 しかし、後ろには華の死体


 しっぽはとかげのよう


 服装は、全裸


 髪は茶髪に、顔はとかげ女としか表現できないようなとかげを思わせるまま可愛い華


 「まじか…華、自分で魔族になったのかよ…こんなのあり得ないけど良かったぜ、無事でよ…」


 ディアは嬉しそうに涙をふいて喜ぶ


 「お前らは私が殺す…ディアぁ、私はあなたのものになる、そのためにも死ぬわけにはいけない」


 華に起こったこと


 それはディアのために死ぬわけにはいかないという思い


 それが魔族への変化をうながした


 死にそうになったら、逃げることができる者


 しっぽきりのとかげ


 それが華がとかげ女に変化した理由


 「ふふっ」


 不気味に微笑むと華は、低姿勢のままかなりのスピードで戦車に突っ込む


 「撃て!」


 戦車から砲撃が行われることは無かった


 戦車は華に殴られると破壊され、もう一つの戦車も砲撃を行う前に破壊された


 「ひぃっ、華、悪かった、国民を捨てるのか?」


 ゆっくりと笑顔で近づいてくる華に後ずさりする戦車内にいた兵たち


 華に人間を思う気持ちなんて無い


 「私を捨てた者に、興味はないわね」


 数秒後、兵たちは全滅した



  ディアは華に近づく


 「華、俺と来い、改めて嫁になれ」


 「もちろん、私はディアのものになるために生きるのだから」


 「可愛いやつだな」


 ディアは、華をゲシュタルトの城に連れていく


 「ゲシュタルト様、魔狼のディア様がお越しです」


 「ゲシュタルト様、行ってらっしゃい!」


 「行ってらっしゃいませ」


 ゲシュタルトの秘書、凪、イダスはトランプをしていた手を止め、ゲシュタルトを送り出す


 「ほう…」


 ゲシュタルトが華を見た途端、笑顔になる


 「ディア、こいつの名は?」


 「華です、華、挨拶を」


 「初めまして、ディアの妻、華と申します」


 華は、深々と頭を下げる


 「染める必要が無いほど、なんなら、私よりも闇が深い」


 「えへへ、ディアと比べたらごみのような人間は私が全て殺しますから」


 「これで、強さもかなりのものです」


 「華、完全な魔族にしてやる。 が…その様子だとディア、お前は恐らく、華から離れられぬぞ?」


 「な、なるほど…良いです、こうなったのは俺の責任なので」


 「そうか、華、お前を仲間として認める」


 華は、ゲシュタルトに頭を触れられるとディアに向かって倒れる


 そして目を覚ます


 「ディア、ディア!」


 華の目はハート


 ディアに抱きつく


 「幸せです」


 「良かったな」


 幸せとつぶやいたディアと華をゲシュタルトはイダス、凪、秘書に顔を見せるために3人のもとへ連れていくのだった



  自衛隊本部に反逆者が現わる


 「華お姉さまを殺そうとしたよね?」


 「お、おい、やめろ、悪かった、三葉みつば


 自衛隊本部のリーダーは頭に銃を突きつけられる


 パン!


 血しぶきがあがり、自衛隊のリーダーが死んだ


 「華お姉さま、きっと見つけるから…こいつらに殺されないでよね」


 

 

 


 



 


 


 


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