第13話  ハイリワード(PC98・イマジニア・SLG)


父の死により、家督と準男爵の地位を継いだ主人公・デュランド。ただ、継いだのは実は爵位ばかりではなく… 寝耳に水の大借金。

かくして世界銀行に問答無用で家産を差し押さえられた彼は、士官学校を中退。残りの借金一千万ゴルを返済すべく、仲間達と傭兵団を結成し旅に出る…


そんな背景で幕を開ける本作は、設定だけを見れば重い雰囲気に思えるかも知れませんが、主人公一行(悪友・幼馴染・御用商人・没落令嬢・元軍人)に御気楽な者達が多いせいか、意外な程にのんびりしたムードが漂う、自由度の高いゲームでした。

…まあ毎週借金取りがにこやかに(傭兵団を護衛に引き連れて)やって来るので、最低でも五千づつは返さねばならないというノルマはありますが、そのちょっとした緊張感も一味、と。


荷物を期限内に指定の場所へ、といった人々の依頼を受けて報酬を貰うなど、コツコツ稼ぐのが基本ですが、政府の募集に応じて反乱軍を鎮圧するなど、傭兵らしく大きく稼ぐもよし。その他貿易・酒場での公演・建築などの日常的な金稼ぎから、武闘大会での賭けやパズルボックスを巡る一攫千金のお宝探し(面倒で時間も掛かるが、完遂すれば一千万ゴル)などのイベント的な金稼ぎまで、とにかく借金を完済すればゲームクリア、好きにやってくれ。

そんな大雑把ではありますが、その大雑把さも魅力と言う、不思議な作品でした。


もっとも自由度の高さの代償か、仲間内の掛け合いといった、あってしかるべき会話やイベント等が極度に少ない事をはじめ、ゲームの要たる金稼ぎも簡単に荒稼ぎ出来る方法があったりと、キャラクターや設定が良い割に、全体の完成度としては物足りない面が多々あったのも事実です。

しかし私にとっては… 何度クリアしても不意に時たま、のんべんだらりとプレイしたくなる様な、忘れ得ぬゲームの一つでもあります。


総合評価 … ★★★☆(自由度とテンポの良さが光る原石)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る