第11話 プロジェネター(PC98・光栄・SLG)


光栄は過去には手広く色々な題材でゲームを作っておりましたが、中には出来は良いのに「信長」や「三国志」の様にあちこちに移植されたりハンドブックが出たりもせず、昔出た20周年記念パックの様なものにもお呼びがかからなかった、という埋もれた存在もある事でしょう。

そして私が例として真っ先に思い付くもの… それが本作です。


同社の名のあるゲームで例えれば、当に宇宙版「大航海時代」とでもいうべき本作は、元宇宙海賊の主人公・ケニーが父の死の原因やその研究の足取りを追う中で色々と事件や騒動に巻き込まれて行き… といった感じで進行していくゲームですが、本筋のシナリオも中々うまくまとまっている上、主人公をはじめとした主要キャラ達の造形もしっかりしており、台詞や行動できっちりと存在感と魅力を感じられました。

そして要と言うべきシステム面も、生活や装備の充実に必要な資金を、星系を跨いだ交易に勤しんだり斡旋所で配達等の仕事を地道に請け負ったりと手堅く稼げるのは勿論の事、元本業の海賊行為に励んだり警察に指名手配されている賞金首を狙ったりと武闘派路線で行くも良し。更には分は良くないものの、無人惑星で一山当てようと未知の鉱山探査に勤しんだりも出来るなど、プレイヤーの裁量の余地も多く、気侭で楽しいものがありました。

また細かい部分では、最新鋭の兵器は市販されておらず警察のみが装備しているといった状況や、裏の通行パスや闇採掘権といった権力者絡みの利権問題、さらに海賊と警察組織の癒着などがさり気に描かれていたのも、個人的にはかなり好印象でした。


「飛びぬけた名作」という程ではなくとも、時折ふっとプレイしたくなり、すれば何度と無く楽しめる。

私にとってはそんなお気に入りの作品であり、光栄がハンドブックを出さなかったが為、自前で星系図や交易表といった基礎資料を作成したのも、今では良き思い出と言えましょう。


総合評価 … ★★★★(中々のレベルでまとまった、バランス良き逸品)

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