第9話 ドラゴンマスターシルク ~龍召還娘~(PC98・ギミックハウス・RPG)


魔龍「魔王が再び復活し、世界を征服しようとしている。さあ勇者の末裔よ、奴を倒しに行くのだ!」

シルク「いやだね、あたしには関係のない話だ!」

          (暫く両者、押し問答)

魔龍「…判った、ならば魔王を倒せば一つだけ願いを叶えてやろう」

シルク「なんでもだな… じゃあ世界征服!」


RPGの王道的展開の一つとして、復活した魔王を倒す為、かつての勇者の末裔が立ち上がる、といったものがあるかと思いますが、このゲームはその「お約束」をこういった感じでのっけから破壊してくれた作品として、未だに記憶に残っております。

世界征服を目論む魔王を倒すべく、世界征服を夢見る勇者の末裔が立ち上がる… まあ今思い返しても凄いオープニングでした。


本作は、RPGとしてのシステムやバランス面でのみ評価すれば、正直「無難」以上の作品では無かった様に思います。

ですが、空腹の為に互いの血を吸いあっているドラキュラ姉妹とか、服装に若干似た点が… くらいで似ても似つかない、筋骨隆々の自称主人公パーティーのドッペルゲンガーといった濃い敵キャラ達、そして何より冒頭でも取り上げた様に主人公の人となりが何とも印象的でした。


一匹狼で賞金稼ぎを生業とする魔法使いの少女シルク。

容易に人を信じようとせず、ただ働きを嫌い、「背が低い」「少年のようだ」といった、自分が気にしている身体的特徴をバカにされると魔王相手でもぶち切れる(怒りによるパワーアップもあり)等々…

近年ならばまだしも、当時としては実に斬新な主人公だったかと思います。


なお本作は、98で続編として「2」が、後にセガサターンにてリメイク版が出ておりました。

「2」については未見の為何とも申せませんが、サターン版については個性溢れるキャラ達という最大の魅力をパワーアップさせた上、システム・シナリオ・イベントら全ての面に手を入れ見違える程に向上させた、文句の無い良作だったかと思います。


総合評価 … ★★★(RPGとしての出来は平凡なれど、主人公に一見の価値あり)

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