第6話『埼玉王国と植物たち』
埼玉王国は美しい水源の国と言われている。武蔵平野に広がる、関東の小国で綺麗な水辺と水源に恵まれた場所だった。大宮で生まれ浦和に生家を持った神命(かみ)・清水瀧ノ神命(しみずたきのかみみこと)を主神として国家を成す小さな国である。元々は乾いた厳しい土地で、水や水源とは縁のない場所だったが。清水瀧ノ神命(かみ)の出現とその偉業により生まれた水によって美しい水を湛える土地となった。
都は浦和で、副都市が大宮という形の日本列島に属して数カ所点在する政令指定国家の一つである。神命(かみ)・清水瀧ノ神命(かみ)の末裔である王家が都浦和に居城を構え、副都市大宮には国を守って鎮座する氷川神社が存在している。
夏が暑く冬は過ごしやすい、美味しいお茶と酒が名物で、緑豊かな国土をしている。地方の国や土地へとつながる鉄道の路線の多さが有名で旅人も多い。
二年前に魔木の大量発生という禍があり、それ以来国外からの訪問者は減ってはいたが、この二年で来訪者の数は回復傾向にある。少しずつ活気を取り戻していく最中にある国であった。
元々平地に氷川神社の前進である社があり、鉄道の大きな駅があるだけだった場所だったが、二千年前に街で起きた魔物による災害を当時の清水瀧ノ神命(かみ)が抑えて鎮められたのちに、今の埼玉王国の国土が突然の地殻変動によって発生したのである。神命(かみ)による魔物の制圧のち、神命(かみ)はその妻と共に天空の居城へと帰還され、その後に残った神命(かみ)の家族と志ある神職たちの指導の下、副都市大宮に新たに氷川神社が作られた。残された国、街のために、神命(かみ)がもたらせた水を運用していくことによって、埼玉王国は始まっている。
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