お出掛けの予定

「こんばんは、透君」


「こんばんは、奏さん」

今日も奏さんが僕の家にやってきた。

今日の奏さんは髪を結んではいない。

またポニーテールで来られたら心臓が持ちそうになかったので一安心だ。


今日が料理当番の奏さんが台所に向かう。

すると準備をしようと手が止まった。


「ねぇ、透君。後で騒ぎになっても困るから一応聞きたいのだけど……」


「なんですか?」


「……料理の時、髪の毛が邪魔だから一つ結びにして良い?」


「……大丈夫です。確認してくれてありがとうございます」


僕の言葉を聞いて奏さんは髪を一つ結びにした。

あまり見ないようにしていたが、つい見てしまう。

その時に奏さんと目が合った。

奏さんは「本当に好きなんだね」と言って微笑んだ。

僕は気恥ずかしくなり、テレビを点けた。

番組ではゴールデンウィーク特集をしていた。


「もう少しだよね、連休。楽しみだな〜」


台所のカウンター越しに番組を見た奏さんが笑顔でそう言った。


「お出掛けとかするんですか?」


「そうだね、大学で出来た友達と出掛ける予定だよ」


「良いですね。楽しんで来て下さい」


すると奏さんは、「あっ」と声を上げた。


「透君、たまには外で食べない? 連休中にどこかへ出掛けようよ。透君は連休中の予定はどう?」


「良いですね。僕も友達と遊びに行く予定がありますが、子どもの日が空いています」


「私もその日が空いているよ。じゃあ、子どもの日に出掛けよう!」


こうして、僕の連休中の予定が一つ埋まった。


食事が終わると僕と奏さんは二人でどこに出掛けるのかを話し合う事にした。


「何しようか? 透君はしたい事は何かある?」


そう問われ、僕は脳内で周辺の地図を広げた。


「少し距離がありますけど、動物園とかどうですか?」


「あっ、もしかしてパンダがいる動物園?」


僕が頷くと奏さんは目を輝かせた。


「良いね! 私、動物が好きだから行きたいな」


「良かった。そうしたらそこに行きましょう」


「後はご飯の場所だね。……あれ?」


そう言うと彼女はスマートフォンを弄り始めた。

やがて奏さんが顔を上げるとスマートフォンをこちらに見せてきた。

僕が覗き込みとスマートフォンにはお洒落なレストランが表示されていた。


「ここのレストランは有名で一度は食べたいなと思ってたんだ。もし透君が良ければ、ここでも良い?」


「勿論、良いですよ。有名な場所なら予約をしましょうか」


僕はスマートフォンを出すとレストランの名前を検索して予約サイトを開いた。

確認をすると後僅かだが空きがあったので、そのまま予約をした。


「これで大丈夫です」


「ありがとう! そうしたら当日の格好はどうしようかな。透君の好みは?」


「奏さんなら素敵ですから、どんな服でも似合うと思いますよ」


「余裕がある返しだね。これは久々に気合いを入れないと」


そう言われ、僕は奏さんがどの様な服装をするのだろうと想像してしまった。

僕は「楽しみにしていてね」と意気込んでいる奏さんを見ていると出かける日が待ち遠しくなった。

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