第7話 戦い
警報が鳴り、ネームレスは通信をつないだまま、砂漠のように砂で黄色く、木々はない、倒壊した家屋が存在する場所に向かっていた。
そこで、ネームレスの4人はビットの1つの機能を展開する。
熱探知機能。
装着している片耳用のワイヤレスイヤホンのような形をしている機械から、半径30mまでの動く熱を持つものを探知することができ眼前に表示される。
また、味方と登録されている者は反応しない高度な技術を備えている。
これは、ネームレスの捉えた反応は指揮官も見ることが出来、さらにコントロールルームでは、魔力を消費することで指揮官のみ半径50mまで一時的に範囲を伸ばし、反応を確認することもできる。
だが、闘士は30mなのは変わりないため、情報共有が重要になってくる。
先頭を走るのは、ダイア。
まだ、熱探知できるものは存在していないが、ダイアは反射神経がずば抜けているため、奇襲があった際も対処できるように先頭を走っている。
さらに、視力もずば抜けている。
「ネームレス部隊、こちらからビットを強制的に相互通信状態にします。私の指示、そちらからの指示を的確に行うためです、了承してください。」
ピッ!
リッカの手で、ビットを通して全員と会話できるようになる。
(ちっ、本当に戦場にまで出てくるのかよ、今回の
ダイアが心の中で文句を言っていると、
「
(なっ、何でそんなことまで知ってやがる。)
「
ダイアの返答の声は少し低く聞こえた。
「了解しました、
(うちのことまで調べてるの!?)
「
エメも変わらず、普段の会話とは違う反抗的な音色を奏でた。
ここで、指揮官と闘士の違いが1つ生まれる。
そう、指揮官は闘士全員の行動と音声、周りの音を拾い瞬時に通信相手の判断をする必要がある。個人に通信するか、全体に向けて通信するのかなど。
対して闘士からは、部隊長の
例えば、ビットを通して
その為、指揮官は頭を酷使するため脳にダメージを負う者もいる。
そんな危険を伴う中で、リッカは戦闘に参加しているのだ。
「
「了解しました、この周辺に現れるのはサイズは自分たちと同じか少し大きいくらいのものです。近距離から中距離で戦闘し、力は人間の数倍はあります。素手では敵いませんが、弱点は頭部と腹部の2か所に赤く光る石と思われます、経験上それで倒せなかった個体はいません。」
「そんな特殊な個体が、数はどのくらい出ることが多いのですか。」
「そうですね、10体前後は覚悟した方がいいと思います。」
シュウは、レイダーの名前を決して口にしない。
それはなぜか。
過去にネームレスに所属していた1人が、事実を伝えるため指揮官にレイダーのことを話すとその日の夜に謎の死を遂げたのだ。
体に毒が注入されたのだろう、静かにそして青ざめた状態で発見された。
そこから、真実を話すことをネームレス全体で禁止している。
「危険な環境なのは理解しました、ではーー。」
「
「了解しました、従来通りのペアで対処を提案します、
「問題ありません、
「作戦は立てる時間がありませんので、着実に各個撃破でお願いします。ロアの光がこの身に宿らんことを!」
「ロアの光がこの身に宿らんことを!」
まず、
ダイアは速度を上げ、豹のように素早くレイダーに近づく。
すると、
ダンッ!ダンッ!
ハンドガンのような銃から弾丸が迫る。
「さて、今日も生き残るぜ!」
サイドステップで弾丸を避け、そのまま近づき長剣の大振りで横薙一閃。
機械が壊れる音が響き、2体のレイダーがバラバラになる。
「2体の殲滅を確認、
「ん?マジかよ、了解した、しました。」
「今は戦闘中です、言葉使いなんて気にしてる場合じゃありません!」
(
岩の奥にいたレイダーは、ミレイの銃弾で撃ち抜かれる。
「追加で1体の殲滅を確認、っ!?
「ヘっーー。」
これが熱探知機能の弱点。
高速で接近する物体があったとして、気付いたとしてもターゲットにされている闘士が確実に対応できるわけじゃないのだ。
音を置いてくるかのような速さで、レイダーが弓を構えていたエメに向け背後から銃の先に付けられたナイフを伸ばす。
その距離、残り10㎝。
「嫌だ、死にたくーー。」
グシャンッ!
金属同士がぶつかったような鈍い音が、あたりに響く。
「っ……、え?」
「
「
「りょ、了解しました、
リッカも切り替え、ネームレスは順調にレイダーを殲滅していき、
「これで終わりだ!!」
ダイアの斬り上げが、最後のレイダーにとどめを刺す。
これで、ビットに反応はなくなった。
「
「お疲れ様でした、ネームレス部隊。周囲を警戒しつつ、帰還してください。後ほど報告書の作成をお願いしますが、明日で構いません。」
(なにこの
「了解しました、
「あ!ちょっと待ってください、
「……了解しました、連絡お待ちしています。ネームレス、アウト。」
ピッ。
ビットの通信が切れる。
ネームレスは勝利を得た。
だが、その勝利には今までに感じたことのない不思議な感情が残っていた。
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