第4話 ロア王国
場所は変わり、ロア王国。
ここは、ネームレスの暮らしている町とは真逆の環境、木造の建物がきれいに並び屋根も複数の色で塗られており美しい街並み。
辺りは屋台や商いで賑わっており、昼だというのにビールを口にしている軍服姿の者も見受けられる。
平和……とは何なのか分からないが、この町は平和という言葉に適した町なのだろう。
そんな中を、1人の軍服を着た女性が歩く。
周りの軍人からは、
「あいつじゃねえか、今年の優等生。」
「ああ、なんでも飛び級して指揮官見習いにまで上り詰めたんだってよ。どこの家系の者か分からねえが、いいご身分だよな。」
「ルックスはいいからよ、それで上官たちを落としたんじゃないか?」
「ばかっ、声が大きいぞ、聞こえてたらどうする。」
周りの戯言が、女性の耳には届いていた。
(はぁ、いくら町が平和だからって昼から飲んだり、噂話で勤務時間に盛り上がるなんて、同じ軍人として恥ずかしいわ。)
彼女の名前は、リッカ・ソール。22歳。
コードネーム
水色のミディアムヘアに、クリスタル型の赤いピアスを左耳につけている。
背は平均的、160㎝程で華奢な体系。翡翠の眼に、小顔でキレイ系の顔立ち。
王国軍人は闘士以外武器を本来持たないが、彼女は2本のダガーと弓を装備している。両親から厳しく育てられ、礼儀作法は身に着けており、かなりの努力家。そして、頑固でもあり時々ツンデレになることもある。甘いものには目がない。
そして、ロア王国の軍服は、漆黒の鎧と言われており、黒を主体にしたジャケットに、白いシャツ又はブラウス、男性は黒のズボン、女性は膝下サイズのスカートを履いている。
右胸には、金色の刺繍で獅子が縫われており、階級も同じく右胸の星の数で決まる。
0個は見習い。
1個が少尉。
と続いていき、
最高ランクが10個の総帥になる。
今日、彼女が王国を訪れたのは、辞令が出されるためであった。
彼女は王国所属になって、まだ数日。
だが、これまでの優秀な成績が認められ、平均的に30歳前後で部隊の指揮を任せられるのだが、彼女は22歳という若さで抜擢されたのだ。
王国の城は、白をベースにしたレンガで作られ青い屋根が輝く。
中は、赤いカーペットが敷かれ、きりっとする場所。
のはずだったが、
見た目はとても美しく、お金がかかっているのが見て取れる。
しかし、周りの軍人は職務を全うするどころか立ち話をしている者、酒を飲む者、ゲームをする者など、怠惰な姿が散見された。
(何でここの人たちはこんなに緩んでいるの。アナザー帝国とは停戦状態にあるとはいえ、いつ戦争が始まってもおかしくないはずなのにここまでだらけていては勝てる戦争も勝てないわ。)
リッカは疑問を抱えつつ、現在最高位の大将がいる部屋に歩みを進めた。
コンッコンッコンッ。
ドアをノックすると、
「リッカ・ソール見習いだな、入れ。」
「はっ!」
キィー。
他のドアより重く感じられるそれを開き、中に入ると、
「ジン大将、リッカ・ソール参上しました。」
シュッ。
素早く敬礼し、前を見る。
「ご苦労、まあそんなに畏まるな。……とはいっても、周りのやつらを見てはそのくらいの方がいいのかもしれんな。」
「大将、いきなりで恐縮なのですが、1つご質問があります。」
「許可する。」
敬礼を解き、疑問を投げかける。
「ロア王国は、今は安全な場所であるとは思います。ですが、アナザー帝国が動き出した時今の状態では到底対処できるとは私には思えません。これは、正しい姿なのでしょうか。」
「正しい疑問だな、ソール。確かに、今のロア王国にアナザー帝国が攻め込んできたら危険なのは間違いないだろう。我も、修正しなくてはいけないと感じている。」
「良かったです、私の感覚が間違っているわけではなくて。」
「だが、ここからはシークレット事項だ。ロア王国には、アナザー帝国を監視する、選ばれし闘士達が集められた部隊が存在する。」
「それは、第1から第9部隊のほかにでしょうか?」
スッ。
リッカの前のテーブルに、1枚の紙が置かれる。
「これは?」
「指揮官として抜擢された君に、最初に与えられる部隊の詳細だ。」
「詳細、ですか。にしては、名前と部隊名しか書かれていないようですが。」
「だからこそシークレットなのだ。ソール見習い、君に託すのはこの国の精鋭部隊、ネームレスだ。」
「ネームレス。」
「話は以上だ、明日、部隊の者に連絡するためのビットを渡す。話は以上だ。」
キィー。
ドアを静かにしめ、リッカは紙を見る。
「明日、ビットが渡される、指揮官と闘士が遠隔で通信しあうために必須の装備ね。それと、ここに書かれているのは、4名!?」
リッカの表情が驚きにあふれる。
それもそのはず、通常1部隊100名前後が平均的。
そんな中で、4名しかいないのは疑問でしかない。
「記載されている名前は、隊長がシュウ・マールス、副隊長がミレイ・ウェスタ、隊員が、ダイア・リュウとエメ・ジュード。……それと、この下の微妙な空間は何?もう1人書けそうなスペースがあるけど。」
リッカは疑問を抱えつつ、その日は町をめぐり空が暗くなったころに家へとついた。
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