六章 佐原莉子 2(さはら りこ)

《2019年 5月3日》

《今日、七楓と買い物に行った》

《私の猫の手のUSBメモリーが古くなったから、新しいやつを買いに行った》

《なのにねぇ、なんでスマホカバー選びに延々付き合わされたんですかねぇ》

《私の買い物なんてどうでもいいんですかねぇ》

《挙句、青を取られて大嫌いなピンクを押し付けやがって。青は私の色なのによぉ》

《鈴前七楓 マイナス2点》


「……え?」


《2019年 5月4日》

《智恵理が元カレの数でマウントを取ってきた。股の緩いバカが、自分がバカなことを自慢してくる》

《初Hって一生の思い出だよねだってさ、ぶち殺してえ》

《永見智恵理 マイナス5点》


《2019年 5月5日》

《今日は昼休みに日食の観察をした》

《日食観察用のサングラスを皆でかけて》

《莉子はサングラスがよく似合うな、って言われちゃった》

《ブスだからか?》

《ブスは色眼鏡かけて顔を隠せってか? わかったよ、一生かけてやるよ。これで満足か?》

《芝大悟 マイナス10点》


《2019年 5月20日》

《今日は部活で望遠鏡の使い方を実践形式で勉強した》

《なのに、なんで誰も手伝わねぇんだよ》

《なんで準備も片付けも私一人なんだよ》

《莉子は愛おしそうに機材を運ぶね、じゃねぇんだよ》

《お前らも運べや、ぶち殺すぞ》

《蛍以外 マイナス50点》


《2019年 6月24日》 

《期末試験前だから部活は中止。みんなで部室で勉強することになった》

《案の定、智恵理と芝の二人を押し付けられた》

《なんで私ばっかバカのお守りなんだよ》

《お前も面倒見ろや、七楓。澄ました顔して自分の勉強しやがって。マジでイライラする》

《永見ビッチ 芝バカ 鈴前ゴミ マイナス100点》


《2019年 7月1日》 

《今日、みんなに川原の秘密基地を教えてあげた。誰も知らない私だけの秘密基地》

《なのに文句しか言わねえな、お前ら》

《ベンチが汚いとか、虫が多いとか、暑いとか暗いとか》

《蚊取り線香大量に持って行ったら、ライターを忘れて笑われた。ぜってぇ、許さねぇ》

《蛍以外全員 マイナス200点》


《2019年 7月14日》

《有沢、気持ち悪っ》

《先生が生徒に手出すとか、マジで終わってる》

《しかも、同じ部活の男子が相手とか》

《ババアが盛ってんじゃねえよ。死んでくれ》

《有沢ババア マイナス500点》


《2019年 8月12日》 

《蛍に成績でマウント取られた》

《ついにやったな、お前も》

《ツラがいいから見逃してやってたけど、お前も所詮クズだった》

《蛍 マイナス10点》


《2019年 9月15日》

《もう終わりだ。マジでキレた》

《お前らマジで許さねえ》

《文化祭の展示パネル、全部一人で作らされた》

《莉子が一番詳しいから? 莉子が一番器用だから? 莉子が一番絵うまいから?》

《ふざけんな! なんでいっつもいっつもいっつもいっつもいっつも私ばっか》

《許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない》

《お前達は一線を越えた。後悔しろ。お前ら全員、尾島貴子のエサだ》

《明日から呪殺の仕込みを開始する》

《全員 マイナス一億点》



「……なんなの、これ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る