穴 その4 爆破スイッチ

女神「これはわしの食い物じゃ! 近づくな!」(アッパーカット)


下の階層の人「ごふっ!?」


リアナ「食べ物を下の階層の人に与えながら、降りていくって作戦じゃなかったかしら?」


女神「全部わしのもんじゃ!!」


 女神から作戦を聞かされていたリアナだったが、内容がまったく違っていた。



 しばらくは順調に降りていけた。


 おかしいのは250層からだった。


リアナ「女神さん! 台がとまりません!」


女神「おらぁ! 女神キャメルクラッチ!」(下の階層の人の首を折るのに夢中)


 台はどんどん穴の下へと降りていく。


 女神が暴れているので、台の上の食事はむちゃくちゃだった。


猫美「ひゃい。とまにゃいなん(台。とまんないんだけど)」(女豹化し、魚をくわえている)


リアナ「……そっか。誰もいないと思われてる階層は、台を止めないように、センサーを仕組んでいるのかも」


 人の血まみれな死体が増えていく。


リアナ「でもなんで、血まみれな死体が……えっ!?」


 下の階層から悲鳴。


 女神がとどめとばかり、台の外へと突き落とした、人の悲鳴じゃない。



 熊がたっている。



 腕を組んでいる女だ。


 胸が出ているから女だが、体つきはボンバイエーだった。


女神「なんじゃあのメスゴリラは?」


リアナ「愛里咲(ありさ)だわ」


女神「どなた?」


リアナ「旦那がニートで働かず、生活に疲れた主婦よ。子供が20人はいるって聞いたわ。あんなに変わり果てて……」


女神「逆じゃない? どうみても太っとるよ? むしろ筋肉じゃよ?」


リアナ「真田君!!」


真田「なんじゃい!!」(真田、16歳の女子高生、性別はオス)


リアナ「愛里咲を楽にしてあげましょう。今こそジークンドーの修行の成果を見せてあげるのよ!」


真田「おっしゃ!!」(真田、16歳の女子高生、性別はオス、元は女)


 リアナと真田が台から飛び出した。


 愛里咲はにやりと笑う。


リアナ「えい、えい、やあ」


真田「うっしゃあっ!! うしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!! うっしゃあああああっ!!」(真田、16歳の女子高生、性別はオス、元は女、好きな物どんぐりを食べているリスのぬいぐるみ)



 リアナと真田が愛里咲を両端から攻撃するが、すべて受け止められている。


女神「なんてやつじゃ……両腕だけで、修行でマスタークラスの認定を、お金を払って取った2人の攻撃をしのぐとは、うおっ!?」


男「愛里咲は渡さん!!」


女神「ぐはあっ!!」(台から吹き飛ばされ、コンクリートの壁にめり込む)


 女神は口から吐血。


女神「貴様……愛里咲の不倫相手じゃな?」


男「こいよ。ぼくと愛里咲の『愛』の力を見せてやる」


女神「……ふふ。おもしろい。わしとて今はホームレスじゃが、元は神。その『愛』とやらの力で、どこまで強風を耐えられるかのぉ!!!!」(赤いオーラが出る)(ペッパーチリ味)



男「姫。われになんなりと」(猫美にかしずく)



女神「っておい! 浮気が早すぎじゃろ! 『愛』はどこいった!?」


猫美「私のことがほしいのなら。ポセイドン(海の神)釣ってきて」(じゅるり)


女神「それギリシャ神話の海の神じゃから!? ぜってー無理じゃ!!」


男「よろこんで!!」


女神「そいつ死にに行く気じゃ!! 今すぐやめとけ!!」


愛里咲「浮気わあああああああああああああああああああああああああっ!!!! ゆるさないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!」(男に抱きつく。目や鼻から光を発する)


男「あつううううううううううううううういっ!!!! まっくすはあああああああああああああああああああっっとおおおおおおおおおおっ!!!!」


 ドカーン!!!!



 愛里咲が浮気相手とともに自爆し、女神たちは台まで吹き飛ばされた。



 台が最下層に到着した。



女神「ごふっ……お前ら、生きとるかぁ?」(黒くこげてる)


リアナ「なんとかぁ」(黒くこげてる)


真田「あっち」(元の女子高生に戻った)


女神「最下層についたようじゃの。やれやれ」


 女神とリアナ、真田は台から降りた。


 猫美は爆発の影響で、元の幼女猫に戻り、すやすや眠っている。


女神「早く起きんかい」


リアナ「まって。これからこの台は急速に上昇するわ。猫美ちゃんを置いていきましょう」(猫美の額のスイッチを押す)


女神「なんじゃい、それ?」


リアナ「爆破スイッチよ。猫美ちゃんはロボットだから。これで最上階にいる役所の連中を皆殺しにできるわ。うふふ。これが最後のデザートになるわね」(猫美ちゃんの顔のそばに、そっと、パンナコッタを置く)


女神「この女。優しい面してやることえげつないぞ」


リアナ「大丈夫よ。猫美ちゃんは自爆してもすぐ再生するから。さっ、行きなさい」


女神「いや、そういうことじゃないんじゃが」


 リアナがそういうと、台は急速に上っていく。


 爆弾とパンナコッタをのせて。


 デザートが到着し、猫美がそれを食べたとき、国家が転覆していることだろう。


真田「で。お姉様方。私たちはどうするの?」


リアナ「えっ?」


女神「あっ」


真田「……おいっ!」



(完)

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