ふたつめ:愛すべき馬鹿
やぁみんな!俺は谷欠!ひょんなことから魔導書?を拾い、世界滅亡を目論むごくごく普通の一般人!くとぅるふ?を復活させて、世界のリセットをすることを目標に教団を設立するのだが...俺、気づいてしまった。
教団って、もしかして独りじゃ成り立たない?
まぁ、そうか。教"団"っていうくらいだもんな。そりゃ誰かしらいないとただの頭おかしい人だもんな。頭おかしい人が集まって、ようやく擬態できるんだから。
う~ん、難しいな。そもそも、俺って友達いなくないか?やばい、人望がない。いきなり「世界滅ぼしませんか?」なんて勧誘しても、どうせ誰も来ないだろうし……。誰を誘うにも、リスクが付いてくるな。頭が悪くて簡単に騙せそうで、それでいて俺と仲のいい人物...あっ、いたな。
プルルルル……プルルルル……プルル、ガチャッ。
「あー、もしもし?どうした?真門!」
電話越しに、間抜けな声が聞こえる。こいつは、俺が中学の頃からずっと仲のいい愛すべき馬鹿だ。
"綿堂巳 割-めんどうみ わり-"。ガタイが良くて、高身長。圧があって、関わりずらいように見える。が、そんなことはない。思い出せば、アイツの馬鹿さが鮮明にフラッシュバックする。
セミを捕まえて俺に見せてきたと思えば「見ろよ!きめぇ!」とだけ言って逃がしたり。
海を眺めては「デカイ海、デ海。」とかつぶやいたり。
宿題を忘れたことを先生に詰められては「全部俺が悪いんです。俺が、食べちゃったから。」とガチ泣きしたり。
愉快で愉快で……いや待て、最後の回想なんだ?アイツが食ったのか?マジで?
とまぁ……そんな感じの馬鹿。それが今俺とスマホ越しに電話してる男だ。
『割!久しぶり~!』
「お~う!マジ久しぶりだな!で、どうしたんだ?マルチか?」
マルチ……マルチ商法か。アイツも賢くなったな。そんな言葉覚えるなんて……俺はうれしいよ。
『アホか、んなわけないだろ。実は、宗教を作ろうと思ってな……』
「うわ~!もっとヤバいの出てきたな!宗教!へ~!宗教!?」
まぁ、そんな反応されるのも仕方ない気がする。
知り合いから宗教建てたいとか言われたら、俺だったら切る。切らないでくれ~馬鹿よ。
「あ~……お前に何があったのか知らねぇが……宗教始めるって……」
「……クッソ面白そうじゃねぇか!なんだお前、そんなことすんだったらすぐいえばよかったのによお!」
なんで好印象なんだこいつ。本当に馬鹿だ、馬鹿で助かったよ。
『やっぱお前は親友だよ。』
「んあ?当たり前だろ?」
『宗教やりたいってのもな、もうきついんだ俺。そしたらさ、光る本が転がってたんだよ!読んでみたら、いろいろやばいこと書いてあってさ。んで、世界滅ぼそう!みたいな!』
「なんもわかんねぇ!んでも、お前がつらいってのはずっと前から分かってたよ。そんなお前が頑張ろうってんだ、んなら俺も手伝うしかないよなぁ!?」
こいつ。いいやつすぎる。馬鹿とか言ってごめん。でも馬鹿なところが好きだぜ。
『お前ならそう言ってくれるって思ってたぜ!信じてたよ、愛すべき馬鹿よ!』
「お前馬鹿っつったか?」
『悪い、忘れろ。』
「――で、とりあえずそのクトゥルフ?ってのを復活させるために、俺とお前でいろいろやるわけだ。となると……」
「設備とか、どうすんだ?拠点とか、欲しいだろ。折角だし。」
あー、あんま考えてなかったな。そうか、集まるなら教団の拠点が必要か……。
『そういえば、俺とお前で昔よく行ってた秘密基地あったじゃん。あそこどうだよ!』
「あ!あの橋の下のな!懐かし~!」
『この前寄ったとき誰もいなかったし、どうせ今だって誰もいない。ならさ、そこで活動しようぜ!ロマンあるだろ?』
「お前、時々最高なこと言うよな。行こうぜ!今から!」
そうして、俺と綿堂巳含む二人の教団が設立された。これからどうなるかなんてわからないけど、前みたいに秘密基地で集まって、前みたいに二人でワイワイできる。そう考えると、なんだか久しぶりに胸が躍った。よっしゃ!地球、滅ぼすぜ~!
次回、「みっつめ:誰だおっさん」。お前こそ誰だこの女生徒!
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