第30話 『がんばれ!⑤』
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それではどうぞ
今回のモブ
南館大輝。野球部でキャッチャー。妃鞠が好きで、葵ちゃんが気になる浮気性な男。
実は、両方を幸介に奪われている可哀そうな男。
今回のキャラ
財前先生。露出と胸が大きいアラサー教師。
その妖艶で少しサディスティックな瞳はマゾ男子を引き付けてやまない。
高校生男子が泣いているのを慰めるのが大好物。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
3学期が始まった。
「「おはよう!」」
俺と妃鞠が一緒に教室に入ると、南館が妃鞠に吸い寄せられてきた!
「おはよう、あけおめ。お前ら一緒に来たのか?」
「ああ、俺、自転車から電車通学に変えたから。」
「幸介、私と一緒に通学することにした、でしょ?」
妃鞠が俺の頬をツンツンとつついて来たので、教室中に激震が走った!
何人かの男子が愕然として立ち上がり、
女子たちは期待にソワソワしながら立ち上がっていた。
南館はいいパンチを顎にもらったみたいにフラフラだ!
「えっ、お前ら・・・まさか・・・そんな・・・」
「付き合い始めたんだ、俺たち。」
そう言って、妃鞠の手を握ると、妃鞠は俺を見てニコニコほほ笑んだ。
「「「嘘だ~!嘘だと言ってくれ~!」」」
男どもの悲鳴が響いた。
2日目から6時間目まで授業があるのだが、
まず席替えがあって、近くにいた梁多、千家ともバラバラになってしまったし、
妃鞠とも遠かった。残念!
当然、対馬は学校へ来ていなかったが、俺たちは何にも言ってないけど、
何か事件を起こして捕まったらしいって噂が流れていた。
噂って凄いね。
昼休みは梁多の席に集合だ。
4人で席をくっつけると、弁当箱を開いた。
「・・・幸介、東雲さんと弁当の中身が似ているね?」
梁多が俺と妃鞠の弁当を何度も見比べているぅ~!
よく、気づいてくれた!梁多、ナイスゥ~!
「えへへ!妃鞠が作ってくれたんだぁ~!」
ビシッ!
梁多と千家どころか、またまた周りの雰囲気が変った!
どうだ!
俺を羨ましがるがいい!
ぬははははは!
付き合っていることを自慢したいぃ~!
だけど、妃鞠と葵ちゃんと同棲していること、
それと、葵ちゃんとも付き合っていることは絶対秘密だ!
「・・・あんたたち、ホントに付き合ってるんだ。」
千家はシンジラレナ~イ!っていう風情だった。
「ホントだもんね~。」
「うんうん!」
俺と妃鞠はお互いを見てニッコリと笑った。
「・・・どこがいいの、こんなヤツ。」
相変わらず千家の俺に対する評価が低すぎる!
「え~、だって、カッコいいし、強いし、頼りになるし、優しいし、
おか・・・こんな凄い人いないよ?」
妃鞠はテレテレしながら答えた。な、なんて可愛い!
周りの野郎どもが阿鼻叫喚していた!ふふん!
「・・・目を手術した方がいいんじゃない?」
千家、ひどいぞ!
「まあ、優しい、いい人ではあるけど。」
梁多、それはどうでもいい人だ!
「なんで妃鞠の方が夢中になっているのよ、もう・・・
錦埜、お前にはホント~にもったいない。大事にしろよ。」
「もちろんだ!」
妃鞠がこれまで見せたことのない、
ふにゃっとか、てれっとかの表情を俺にだけするもんだから、
また男どものヘイトが向けられるようになってしまったよ。
カモン!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これからは毎週水曜日に、生徒指導室で葵ちゃんと財前先生と俺で
お茶会をすることになった。
15分ほどだけど。
「呼ばれるのは嬉しいんですけど、なんで俺ですか?」
「面白そうだから!」
「ええええぇ!」
財前先生はニッコリと笑いながら、俺を見据えた。
「対馬くんがしばらく休みってことだけど、なにか知ってる?」
「さあ?」
想定内だ、自然に答えれたぜ!
財前先生の微笑みが深くなった!ちょっと、怖い・・・
「妃鞠ちゃんとイチャイチャしているのは、対馬くんが絡んでいる?」
「つ、対馬は関係ないけど、な、なんで妃鞠とのことを・・・」
財前先生、早すぎます~
「うふふ、注進に来てくれる男の子が何人もいるの。」
「ええ~!」
ちなみに昨日、対馬の両親から葵ちゃんに電話があった。
17歳の息子の将来のために、金を払うから、被害届を取り下げてくれというのだ。
初めは母親から泣き落としで、次は父親がしつこく、最後は脅迫めいたことまで。
「対馬は、カギを壊して他人の家に侵入した!
警棒で壁や机を殴って、女の子を恐怖のどん底へ叩き落した!
女の子を殴り倒して、レイプしようとした!
こんな凶悪犯罪は17歳だからって許されない!
絶対に被害届は取り下げない!
これ以上言うなら息子の犯罪動画を、
住所、氏名、生年月日、親の名前付きで、インターネットに曝す!
2度と、この電話番号に連絡してくるな!
金はいらない、罪に相応しい罰を受けろ!」
怒りが沸々と湧いた俺が代わって、ピシャリと言ってやった。
弁護士さんと話をしてみるか!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まあいいわ。こうすけくんを毎週呼ぶ理由はね。
・・・教えて欲しいのよ。生徒たちの恋愛事情を!」
財前先生が力強く言ったけど、ちょっとゲスいよね。
「あんまり知らないし、友達少ないし、そもそも興味ないし・・・・
その男の子たちから・・・」
「こうすけくんから聞きたいの!
だから、情報を集めてきて欲しいの!
特に、フラれた男の子情報!可愛いコだったら慰めてあげるの!」
「ええ~」
思ってたより、10倍ゲスかった!
財前先生はじっーとこちらを見た。
「うふふ。フラれたらいっぱい慰めてあげるね。」
テーブルの向こうから手をのばし、俺の頭をナデナデしてきた!
俺はワンコのように、クーンと啼いて目を細めてしまった。
我慢できなくなった葵ちゃんが財前先生を阻止した。
「あわわ、こーくんに近づかないで!」
ダメだ!
「うふふ。やっぱり葵先生とも付き合ってるんだね。」
バレた!!!
葵ちゃんはなにか言うたびに、ドツボにはまって、すべては吐き出されてしまった!
3人の関係、3人で一緒に住んでいることまでだ!
財前先生は笑いながら「大丈夫、内緒にするわ。」って言ってくれたけど、
目がキラリと光ったようで、なんだか寒気がする。
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