第28話 『がんばれ!③』

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最後までよろしくお願いします。

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ジャージの妃鞠が先に起きてきて、「おはよう。」って言ってくれたので、

「おはよう。」って答えた。

「えっ?」

妃鞠はこっちを見て、あわあわして、洗面所に逃げ出した!

「キャー、見ないで!」


「もう見ちゃった。すっごく可愛いよ。」

「バカ!」

うお~、幸せだ~


昨日、食材を買っていたので、妃鞠が簡単な朝食をつくってくれた。


葵ちゃんは化粧の時間が必要らしい。

化粧、無くても可愛いのに・・・


トースト、具だくさんスープ、目玉焼きだ。

目玉焼きなんて同じだろって思っていたが、

2人と食べる目玉焼きはメチャクチャ美味しかった!

コレ、魔法がかかっているね!


葵ちゃんと妃鞠は、昨晩最後のバチバチの感じは無くなった。

昨日は2人とも疲れ切っていたけれど、よく寝て体調はばっちりのようだ。


妃鞠が笑顔でうなずくと、葵ちゃんは笑顔で話し出した。


「ねえ、幸介くん。私たち、1つずつ訊きたいことがあるの。

ちゃんと答えてくれる?」

「なに、改まって。怖いよ。」


「幸介くんも私たちに1つずつ訊いて。ちゃんと答えるから、ね。」

葵ちゃんと妃鞠が笑顔で肯きあった。


真剣な顔になって、葵ちゃんが口を開いた。

「ホントに、借金を返してくれるの?1億は軽く超えると思うけど・・・」

「軽く!・・・大丈夫!絶対に俺が返します。」

不安になったけど、力強く肯いた。


「ありがとう。あっ、でもちゃんと幸介くんに返すからね!」

「うん。でも、ゆっくり返してくれたらいいよ。」

葵ちゃんと妃鞠がホッとして、笑顔を見せた。


「じゃあ、幸介くん。私たちに訊きたいことは?」

可愛らしく小首をかしげる葵ちゃん。

いつもより子どもっぽく、ニコニコしている妃鞠。


・・・この2人は俺のことをどう思っているのだろうか。

昨晩とかもう、イチャイチャとしか表現できなかったけど・・・

助けたばっかりだったからな・・・


もし、好きじゃないって言われたら、

ただの幼なじみに1億円を突っ込んだ高校生になるのか!

もう伝説だな!アリだな!


「ふ、2人は俺のことをどう思っているの?」

声が震えている!カッコ悪いィ~!


葵ちゃんと妃鞠が見つめ合うと、2人ともにじり寄ってきた。


葵ちゃんが俺の右腕をぎゅっと抱きしめた。大きな胸が!キ、キ、キ、キター!

「幸介くんが大好き。恋人になってもっとイチャイチャしよ?」

葵ちゃんが耳元で囁いてきた。たまらなく良い匂いがする!

もっと、イチャイチャって!どうなっちゃうの?


妃鞠が俺の左腕をぎゅっと抱きしめた!ウォォォォォ~!

「好きよ、大好き!この前買ったゴム、わ、私に使って・・・」

頬を赤らめた妃鞠が耳元で囁いてきた。ダメだ、クラクラする!

すぐに使いたいけど、あれは付き合いだしたお祝いに梁多にあげちゃったんだ~!

それに、俺はLサイズ。キリッ!


「最後に、私の番ね。で、幸介はどっちが好きなの?お姉ちゃん?私?」

妃鞠が甘くない声を出した!


酔いが一瞬で覚めた!覚醒!


「ちゃんと答えてね。どっち?」

葵ちゃんも甘くない声を出した!

脇汗が滝のように流れ出した!


「私の方がこうくんのこと、先に好きになったんだよ・・・」

また、葵ちゃんが甘い声で囁いた。


「ずっと私のことを好きでいてくれて、ありがとう・・・」

妃鞠も甘い声で囁いた!えっと、バレバレだったわけ?


「「ねえ、どっち?」」


妃鞠に好きだと言いたい!でも葵ちゃんを失ってしまう!イヤだ、イヤだ、イヤだ!

葵ちゃんを好きだと言いたい!でも妃鞠を失ってしまう!絶対にイヤだ!

堂々巡りだ・・・

ダメだ、二人とも失いたくない!


「・・・2人とも大好きだ!どっちか決められない・・・」

でも、この答えで二人とも失ったりは・・・


「はあ、やっぱりね・・・」

葵ちゃんがため息をついた。けど、それほど残念そうではない?


「うんうん、さいてぃ~」

妃鞠のセリフは厳しいが、口調は柔らかい?あれ?


顔を上げると2人とも笑顔だ!なぜ?

「そう言うと思ったよ~。」

「うんうん。お姉ちゃん、正々堂々、勝負だからね。」


「負けないよ~。」

「うんうん、でもお姉ちゃんはデート難しいからね。」


「いいもん、遠くへ行くもん!そうだ、幸介くん、ホテルに泊まっちゃおうか?」

「それはダメでしょ!」

「うんうんって言ってよ~」

メチャクチャ仲良しだ!


葵ちゃんと妃鞠は笑顔で俺を見つめてきた。

「幸介くん、私たち、今から幸介くんに選んでもらえるように頑張るね。」

「うんうん。二人ともはダメだよ?」

「うっ。も、モチロンだよ?」


「エッチはもちろん、キスもだけだよ。」

「うんうん。ちゃんとどちらか、選んでね!」


大好きな二人に好意を正面からぶつけられて、最高に嬉しい!

だけど、やっぱりどっちか選ぶないといけないのか・・・

当然だけど、どうしたらいいんだ?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


まずはおじさんのお見舞いにいった。

入院中なので、心配させないように3人の関係は秘密だ。

あと妃鞠が襲われたことも。


おじさんは会社を続けたいって思っているが、

2人が上手に説得して、会社を畳むことを検討することになった。


会社を畳むか畳まないかがメインになっちゃって、

俺が借金を返済すること当然となってしまった。

まあ、3人とも俺に金を返すつもりだから。期限はないけれど。


遠慮されるのを心配していたので、2人の話術に感心した。

それから東雲家に向かって、借金の契約書を探して確認した。


美味しいパスタランチを食べ終わると、2人が肯きあって妃鞠が話し出した。


「あのね、私たちの家の玄関、壊されたじゃない?

しばらく、幸介の家に泊めてくれないかな?お願い!」

2人が俺を拝んできた!


「やった!大歓迎だよ!うん、じゃあ食器とか今から買いに行こうよ!」

「えっ、でも食器は揃っていたでしょう?」


しまった!遠慮されてしまった!


「実は、食器は二人に選んで欲しくて実家から持ってきたんだ。

その代わり、家具とカーテン、家電は莉子が選んじゃったけど・・・

だから、2人のセンスで食器を選んで欲しいな。」

「ホントにいいの?選びたい!」

「うんうん!」


ショッピングモールに出かけて、二人は食器などを楽しそうに選んでいた。


妃鞠がお箸を選んでいると真っ赤な顔の葵ちゃんが耳元で囁いてきた。

「こうくんのベッドで一緒に寝たいな・・・」

「ぶほぁ!」

大丈夫ですか?俺、鼻血出てないですか?


すっごく小さな声だったのに妃鞠は気づいて、こちらをキッと睨んだ。

葵ちゃんはあっちを向いて、鳴らない口笛を吹いた!昭和だ!


夕ご飯は、葵ちゃんがつくってくれた晩ご飯を食べた。

新しく買った3人のお揃いの食器で!

これまでで最高に美味しかった。

まさに魔法!


この2ヶ月、2人とどんどん仲良くなって、楽しい!って思っていたけれど、

今はまさにバラ色、天国っていう感じだ。


全部の家事が終わってカフェオレを前に、

バラエティ番組を見ようとソファに座った。

ふっかふかで、しっかりくつろげそうだ。


いそいそと妃鞠がやって来て、俺の隣に座ると、手を繋いできた!

そして、頭を俺の肩に載せてきた!


葵ちゃんもすぐにやって来て、反対側に座って、手を繋ぎ俺の肩に頭を載せた!


うおっ、なんだコレ!くつろごうと思っていたのに、全くムリ!

ドキドキが止まらない!破裂しそう・・・


なんなの?2人とも好きって最低のことを言ったのに、天国に来ちゃうって?

妃鞠も葵ちゃんもこの状況を気に入っているのか?

・・・でも男子高校生には、ここまでだと生殺しだよね。


お稲荷さま、お言葉が毎日『がんばれ!』ですが、

私はヘタレの童貞です。


二人のうち、どちらも選ぶことの出来ない俺を、

何卒、暖かいご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。


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