第26話 『大事なものを守れ!①』 

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『大事なものを守れ!』

頭の中で鐘の音とともマジな口調でアナウンスがあった!

「くっ、どっちだ?葵ちゃんと妃鞠、どっちを守ればいいんだ?」

「難しい問題ゾイ。」

昨日を反省して、いつもより1時間早くやってきたのに

やっぱりお婆さんが現れた!

「もう、これ以上失敗したくない!」

「思い切って行動するゾイ。」

「はい。ありがとうございます。」



『おはよう。体調はどうかな?今日は何をするの?』

朝からラインで連絡してみると、すぐに反応があった。


葵ちゃんからだ。

『おはよう。

昨日の夜、お父さんは目を覚ましました。

容態は安定しているようです。

今日はお父さんのお見舞いに行ってから、学校に行く予定です。

いつも気に掛けてくれてありがとう。』


続いて妃鞠からもだ。

『おはよう。

今日はお昼にお父さんのお見舞いに行って、

それ以外は家事と冬休みの宿題をするよ。

幸介は宿題もう終わった?楽しいお正月だった?』


この様子なら、今日は借金取りが訪問していないようだ。

まずは、妃鞠と一緒にお昼におじさんのお見舞いに行こう。

後は、葵ちゃんを迎えに行こう。

『今から宿題、頑張るよ。

妃鞠、俺も一緒にお父さんのお見舞いに行きたいから、

昼前に迎えに行くね。』


よし。宿題を片付けるぞ!


・・・・・・・・・・・


今日の妃鞠は見たことないくらい疲れ切っていた。

「おはよう、妃鞠。疲れているみたいだよ。

昨日は眠れた?ご飯はちゃんと食べた?」

「おはよう。ご飯は夜遅くに食べたけど、あんまり眠れなかったよ。

・・・お姉ちゃんにね、電話がひっきりなしに掛って来たんだ。」

「そうなんだ。」

「でも、大丈夫。迎えに来てくれて、ありがとう。行こう。」

・・・全然、大丈夫そうじゃないけど・・・


昨日の病室に向かったのだが、お父さんはもう一般病棟へ移動していた。

その6人部屋を訪れると、おじさんは看護師さんにスマホを取り上げられ、

取り返そうとしていた。

「返してくれ!それがないと・・・」

「返しません!これがあったら、貴方は治らないし、周りにも迷惑です!」

「そんな・・・じゃあ、葵に全部・・・」

「・・・まずは自分の体を治してからですよ。」


「・・・お父さん、具合はどう?」

しばらくして、妃鞠と俺はお父さんのベッドの傍らにいた。


「ああ、幸介君。来てくれてありがとう。

・・・こんなの君に頼むべきじゃないと思う。

だけど、少しだけでいい。二人を助けて欲しい。」

お父さんは疲れ切って、弱り切っているのに、

まだ妃鞠と葵ちゃんのことを心配していた。


「分かりました。任せてください!」

おじさんの不安が少しでも無くなるよう、精々胸を張って自信満々に答えた。


心配だったので、妃鞠を家まで送っていったけど、

借金取りはいなくってホッとした。

「妃鞠、俺、一緒にいたいんだけど・・・」

「ありがとう。でも、大丈夫。お昼寝したいし、今日は帰ってくれるかな?」

「・・・わかった。何かあったら、連絡くれよ。」

「うんうん。もちろん、頼りにしているよ。」


妃鞠は強がっているのがバレバレだった。

だけど、葵ちゃんも心配なんだよ・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夕方、学校の近くにあるコンビニのイートインで待っていた。

来た!葵ちゃんだ。


葵ちゃんにガラの悪いオッサンとオニイサンがすぐに近寄って行った。

しまった!急げ!


葵ちゃんは歩くスピードをあげたが、たちまち追いつかれ、

葵ちゃんの肩をオッサンが抱いた。

何やら囁いていて、葵ちゃんは酷く怯えている!


くそっ!大切な葵ちゃんを守るんだ!

怖い!だけど行くんだ!


「すいません、その手を離してもらえませんか。

先生が嫌がっています。」

「幸介くん!」

怯えていた葵ちゃんがホッとした表情となった。


オニイサンが顔を近づけて恐ろし気な表情で、威嚇してきた。

「あ~ん、ガキが何のようだ。」

「だ、大切な人を助けにきました。」

俺の言葉を聞いて、こんな状況なのに葵ちゃんがぽわっと笑顔になった!


「ああん、大切な人?

いいぜ、2000万の借金を返してくれよ。利息だけで月25万だ。

ガキ、お前が払えるのか?失せろ!」

オッサンがシッシッと手を振ると、オニイサンがより一層顔を近づけて

威嚇してきた。

「失せろ!」


「大丈夫、払うよ!でも弁護士さんとかに相談するから、

ちょっとだけ待って欲しいんだ。」

「何だと!」

ガラの悪い2人だけでなく、葵ちゃんも驚いていた。

「・・・本当に払えるんだろうなあ!」

オッサンは信じられないみたいだった。

「2000万あればいいんだろ?大丈夫だよ。」


オッサンは自信たっぷりな俺を嘲り笑った。

「バカが!俺たちは2000万だが、他の奴らもいるんだよ。

いくらになるか分かんね~のに、どうするんだよ!」


「税理士さんに訊けば、大体の借金が分かるだろ。」


「・・・俺はさ、このお姉さんも妹もタイプなんだよ。

早く、お店で出会いたいんだ。解る、この意味?」


まばたきせず、オッサンが俺を睨めつける。怖い。

足がブルブル震えている。だけど、目はそらさないぞ!


「そ、それだと全部返すまでかなり時間がかかるし、

全部返ってくるかわからないでしょう?

少し待ってくれたらちゃんと利息を付けて、どーんと返すけど。」


オッサンは俺を頭のてっぺんから靴の先まで見ると、ニヤッと笑った。

「ふ~ん、じゃあ勇気ある高校生に免じてもうしばらく待つよ。

・・・そういえばさ、俺たちよりタチの悪い奴らが、家に行くって言ってたよ。

じゃあね、お姉ちゃん。お店で働きたかったらいつでも相談して。」


オッサンが手をヒラヒラ振りながら歩き出すと、

オニイサンは俺をねめつけてから、オッサンに小走りでついて行った。


くそっ!妃鞠もピンチなのか!

ずっと家にいるから大丈夫って思ったのに!


葵ちゃんは、自分は助かったのにパニックになった!

「幸介くん、どうしよう!」

「タクシーだ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


こんなにくだらない冬休みは初めてだ。

いつもはクリスマスだ、初詣だと色んな女と騒いでいるのに!

この最高にカッコいい俺様が誘ってやったのに、みんな、

「・・・その日は忙しいから。」

って断りやがった!

全部、あの女とクソ雑魚のせいだ!


俺は背が高く、イケメンで、歌も上手くて、スポーツも万能で、ケンカも強い。

女にモテるために、軽音楽部に入っているが、

これまではモテすぎて困るくらいだった。

神は、俺に与え過ぎたようだwww


1年の文化祭で歌うと色んな女が近寄って来たので、大体、喰ってやったら、

舛水に「地曳網か、お前は!」って皮肉られた。

しょうがないだろ、向こうから捕まりにくるんだからwww


だけど、レベルの低い女に飽きてきたから、学校で1番のあの女を口説いてみた。

あの女はこの俺をきっぱり断りやがった!

しかも、雑魚にその現場を見られてしまった!

さらにその女がその雑魚と急に仲良くなりやがった!俺に対する当てつけか?


悔しさを我慢していたら、雑魚の親父が万引きで捕まったって奴隷が報告にきた。

チャンスだ!


雑魚に対して嫌がらせしろっていったら、奴隷は嫌がりやがった!

女を紹介してやるっていったら、喜んでやってたけどな!


だけど、雑魚はやられたままではいなくて、反撃してきやがった!

奴隷はホントにバカだから、詰めが甘いんだ!ホント、役に立たないクズだ。


スキー場では、奴隷のせいでちょっとバランスを崩して、

ちょっとコントロールを失ったら、雑魚がぼーっと立っていやがった!


ほんの少し避けてくれれば、俺は避けることができたし、その後は立ち直れたんだ!

それなのに、突っ立っていやがるから、俺も雑魚も痛い目にあった。


雑魚が病院送りになって、ざまあ!って思っていたら、

桐生と赤柴がぎゃーぎゃー騒ぎ立ててきて、そしたら、

奴隷まで裏切りやがって・・・


俺は全く悪くないのに、クラス全員から責められて、

雑魚に謝るハメになってしまった。

その話が学校にバレて、3日間の自宅謹慎!

それが学校中に広まると俺に近寄ってくるヤツはいなくなってしまった・・・


全部、あの女とクソ雑魚のせいだ!


復讐してやる、いや、これは天誅だ!


あの女の家の前に来たら、ヤクザが2人、「金返せ!」って騒いでいた!


ケケケ、良いネタができた!学校中に広めてやるよ!

だけど、さっさと帰れ!

いらいらしながら待っていた。


居留守と思っているようで、しつこくヤクザがぼろっちいガラス戸を叩いていたら、

ガラスが割れる大きな音が響いた。


ヤクザは辺りを見回すとそそくさと逃げ出した!

チャンスだ!全部ヤツらに押しつけてやる!

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