第25話 『連絡しろ!』
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4日、いつもどおり、7時ごろ、油揚げを持ってお稲荷様にお参りした。
『連絡しろ!』
頭の中で鐘の音ととも詐欺師っぽい口調でアナウンスがあった!
「まだ正月気分だよな~」
「人それぞれゾイ。」
「そりゃそうですよね。おはようございます、また明日。」
「ご苦労さまゾイ。」
俺は2日の昼ごはんを食べてから、マンションに戻って一人暮らしを満喫していた。
ただ、葵ちゃんと妃鞠から連絡がないので、寂しかった。
俺からすればいいんだろうけど・・・
どちらかにすれば、角が立つし、両方を誘ったらクズのような気がする・・・
まだ正月気分が抜けていないだろうから、11時になって、
まずは実家に電話してみたら母親が出た。
「幸介は聞いていないの?東雲さんのお父さんが救急車で運ばれたの!
その後、東雲宅で借金取りが大騒ぎしていたのよ!」
入院って、大失敗だ!もっと早く電話しておけばよかった!
歩いて10分なんだから、様子を見に行ってもよかったんだ!
くそっ!
葵ちゃんと妃鞠とのラインを見たが、何にも書いてない。
急いで妃鞠の家に行ったら、もう借金取りはいなかったけれど、
「金返せ!」とかの張り紙があった!
そのゴミを全部剥がしてから、ピンポンを押して、ガラス戸を叩いた。
「葵ちゃん、妃鞠、居たら返事してくれ!」
かなり大きな声をだしたが、応えはなかった。
『ホントにお父さんが倒れたの?今どこにいるの?
迷惑かも知れないけど、2人のそばにいたいんだ。』
メッセージを書き込んだがなかなか読まれない。
気が付いてくれるまでメッセージを送り続けたいけど、必死で我慢する。
『今、市立病院。』
1時間後、シンプルなメッセージが届いた。
おじさんは徹夜で作業していて早朝に倒れたそうで、
過労と酷い胃潰瘍で1ヶ月くらい入院が必要だそうだ。
そして、今日の9時の納品が出来なくなって、
その時もらえた金で返すはずだった借金が返せなくなってしまった!
その話があっという間に広がって借金取りが押し寄せたそうだ。
結構、ヤバい奴らもいそうだけど。
「会社は畳んで、土地、建物、設備を売り払ったら多分大丈夫だから・・・」
疲れ切っている葵ちゃんは力なく呟いた。
多分って・・・
全く信用できないけど・・・
「あの俺・・・」
「うん、大丈夫だから。」
葵ちゃんは無理矢理笑って拒絶した。
「葵ちゃん!」
俺は精いっぱいの頼りになる声で呼びかけたんだけど、
葵ちゃんはじっとしたまま、俺に目を向けてくれなかった・・・
「妃鞠。」
妃鞠もやっぱり疲れ切っていた。
「幸介、心配してくれてありがとう。
でも、家族の問題だから。
まあ、会社のことは私もあんまり分かってないんだけど・・・」
その後は、妃鞠も押し黙ってしまった。
葵ちゃんに時々借金取りから電話がかかってきて、
葵ちゃんはひたすら謝っていたが、中々許してもらえず大変そうだった。
何かあったらすぐ連絡するから食事してきて欲しいって頼んでみたのだが、
二人ともじっと黙って座ったままだった・・・
くそっ、どうしたら葵ちゃんと妃鞠を助けることが出来るんだ?
今、お金をあげるっていっても、絶対に駄目って感じる!
高い、高い壁がある!
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