第19話 『物凄いバック攻めで逝かせるな!①』

フォロー、☆、応援コメント、ありがとうございます!感謝です!


今回のモブ

船見悠平。クラスのお調子者。幸介にバスケットボールをぶつけた。

     幸介に反撃されて目が覚め、ちゃんと謝った。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


『物凄いバック攻めで逝かせるな!』

・・・過去一、下品だな・・・


さて、このお告げを読み解かないと・・・

この対象者はきっと、俺、妃鞠、葵ちゃんだから〇ックスじゃないよな。

いや、ワンチャン、俺が妃鞠を・・・ダメだぁぁぁぁぁ~!

想定を考えることすら俺≪どうてい≫には無理だぁぁぁぁぁぁ~!


まずは、〇ックスじゃない方向で考えよう。

そもそもこれは、一昨日のお稲荷さまのお告げ。精度は大丈夫かな?

まあ、信じるけどさ。


今日からスキーとスノーボードの二手に別れ、さらに上級者と初級者に別れ、

さらにその中で2クラスずつに別れ、合計16チームに別れた。


俺と妃鞠はスキーの上級者チームで、

その上級者チームの中にクラスメイトは俺含めて7人いる。

そのうち敵は、対馬宗次郎、富士谷勇気の2人だ。


俺と妃鞠がスキー上級者なのは、

小学校のころ、俺と妹の莉子は、妃鞠の家族に何度もスキーに連れて

行ってもらったからだ。

そして、妃鞠のお父さん、お母さんに葵ちゃん、妃鞠と一緒に

優しく教えてもらって、そこそこ滑れるようになったんだ。


それから、スキーの上級者コースには引率の先生が2人いて、

うち1人は葵ちゃんだ。


ゴンドラで一番下から一番上まで上がるのだが、10分ほどの長旅だ。

6人乗りだったが、対馬と富士谷と同じ空間はイヤなので、

妃鞠と赤柴愛菜に同乗しようとしたら、キラリと白い歯を見せた桐生英雄に

止められてしまった!

「おい、錦埜、男5人で乗ろうぜ!」

何なの?


桐生英雄は野球部のエースで4番、背は190cmくらいあって、

姿形は力強さ満点のかっこよさに満ちている。

性格はリーダーシップにあふれ、負けず嫌いのようだが、

穏健で快活なもんだから、周りには男も女もあふれている。

ちなみに3年で1番綺麗だという女子と、誠実に付き合っているらしい。

まさに、パーフェクトゥ!


1学期は、妃鞠と桐生が話していて、笑っているのを見ると、

絶望的な気分になったもんだよ・・・


俺とは昔も今も挨拶だけなのに、完璧超人が俺≪モブ≫に何の用なの?

ゴンドラの一番奥に俺、隣が桐生、その隣が船見悠平、

桐生の向かいが富士谷、俺と対角に対馬が座っている。


ゴンドラが動き出してしばらくすると桐生が話しかけてきた。

「なあ錦埜、卯月の財布の話はどうなったんだ?」


桐生は、俺の方ではなく、向かいの富士谷、対馬をじっと見ている。

「ああ、校長に話したんだけど、警察には言うなってさ。」

「そうか・・・じゃあ、教科書とかが水浸しになっていたのは?」

「誰だろうね。」

俺も富士谷と対馬を見た。2人は居心地悪そうだ。


「ふ~ん、他にも色々されているのか?コイツにもやられたんだろ?」

桐生が船見を指さすと、船見はビクッと反応した。

「たいしたことないし。船見はちゃんと謝ってくれたよ。でも今頃、なんなの?」


「お前、期末試験の成績グッと上がったよな。イジメられてんのに!

凄いよ、お前!

今まで助けなくて悪かったよ。

だけど、これからは困ったことがあったら相談してくれよ。」

「ああ、ありがとう。」


うお~、頑張ってたら、完璧超人から認められちゃったよ~!


それから桐生と色んな話をしてみたら、意外と話が弾んでしまった。


スキー場のてっぺんは流石の絶景だった!

「うわぁ、綺麗だね~!」

隣に来てくれた妃鞠が嘆息した。

「本当だね~。」

イケメンなら、君の方がキレイだよ、とかいうのだろうか・・・


先生の先導の元、クラスごとに順番に滑り出した。

ちなみに、葵ちゃんは最後尾らしい。


やっぱり、守るべきは妃鞠か?

妃鞠が滑ったあとを追いかけた。

『物凄いバック攻めで逝かせるな!』だからな。


ついつい、妃鞠の形のいい、ヒップに視線が集中してしまう。

あか~~~~ん!


お稲荷さま、もうちょっと穏健な表現はなかったのでしょうか?

俺≪どうてい≫には刺激的すぎます!


数百メートル滑るごとにとみんなで集まって、また滑っていく。


「久しぶりだけど、割と滑れたね。やっぱり楽しいね!」

「うん、気持ちいいね。おじさんとおばさんが教えてくれたおかげだよ、

ありがとう。」

「うんうん!」


白銀の世界の妃鞠の笑顔が眩しい。

スキーウェアってやっぱり可愛く見えるよな!

スキーウェアを着てさらに魅力がアップしているぅ~!


全員を観察していたら、対馬は普通に滑っていたけど、富士谷は明らかに初心者だ。

へっぴり腰で、泣き言を連発しながら、転倒を何度もしながら降りてきた。

なんで、コイツ、上級者チームにいるんだ?


ちなみに、桐生英雄は、昨日は初心者丸出しだったのに、

今日はもう俺たちと変らないレベルになっていた。

どんな運動神経しているの?恐怖心とかないの?


最後に葵ちゃんが華麗に滑ってきた。


他のスキーヤーは少ないので、葵ちゃんに物凄いバック攻めは恐らくないな。

ひょ、表現はこれしかないのか!


葵ちゃんが富士谷に近づいた。

「富士谷くんは、降りたら初心者の方に行った方がいいよ。」

「い、いや、ここで頑張ります。ちょ、ちょっと慣れてきたし・・・」

「そう?無理しちゃダメよ。」


葵ちゃんがすぐに諦めたもんだから富士谷はがっかりしていた。

やっぱり対馬に無理やり引きずられたんだな。どうでもいいけど。


葵ちゃんは俺と目が合うと、微笑んで小さく手を振ってくれた!

もう、可愛いんだから~



昼からは、上級者コースに行ってみることになった。

結構急でこぶもあってちょっと、いやかなり怖い。



ゲレンデの真ん中で、妃鞠の前を滑っていた赤柴さんがコブで跳ねて大転倒した!

「大丈夫?」

妃鞠は華麗に止まって、倒れたままの赤柴さんに声をかけていた。


俺は、妃鞠のすぐ上になんとか止まって、まずは後ろを警戒した。

暴走しそうなのは初心者の富士谷だ。アイツはどこだ?


いた!20メートルほど、上だ!

へっぴり腰で降りている富士谷のすぐ傍を対馬が猛スピードで通り抜けた!


カツン!

2人の板が接触して、2人ともバランスを崩した!

富士谷はすぐにコケたものの、

対馬はコントロールを失ってこっちに凄いスピードで突っ込んできた!ヤバい!

「うわあ~!」


俺が避けたら、妃鞠にぶつかる!

逃げるな!

守るんだ!


「ごめん!」

赤柴さんを立たせようとしている妃鞠を後ろからドンと押した!


そして、向かって来た対馬に対して、クロスアームブロックだ!

ヤツの板が、拳とストックが、体がまともにぶつかってきた!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る