第18話 『二人っきりにさせるな!』

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今回のキャラ

西平先生 葵ちゃんが好き。フラれてもめげない強靭なハートを持つ数学教師。

     男子生徒は生意気で、面倒くさいので嫌い。

     女子生徒からはモテたい!けど、残念!


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


『二人っきりにさせるな!』

頭の中で鐘の音とともに詐欺師っぽい口調でアナウンスがあった!

「だから、誰をだよ!」

「文句が多い奴ゾイ。」

「すいません。じゃあ、明日の分を・・・」


そう、今日から修学旅行で、2泊3日で北海道にスキーに行くのだ。

その間、お参り出来ないので、お婆さんに相談してみたら・・・

「お神酒ゾイ!」


なので、明日の分は純米吟醸をお供えしてみた。

『物凄いバック攻めで逝かせるな!』

頭の中で鐘の音とともに詐欺師っぽさより、下品丸出し口調でアナウンスがあった!

「・・・」

「どうしたゾイ?」

「すいません、下品すぎてドン引きです・・・」

「・・・」



さらに3日目分は、ワインをお供えしてみた。

『がんばれ!』

頭の中で鐘の音とともに詐欺師っぽい口調でアナウンスがあった!

がっくし!

まあ、2日目も『がんばれ!』じゃなかっただけ充分だな。


「じゃあ、スキーを楽しんで来いよ。怪我しないようにな。」

「父さん、駅まで送ってくれてありがとう。じゃあ、お神酒の処分、よろしく。」

「任せろ!」

父さんはとっても嬉しそうにお供えの処分を引き受けてくれた。


初日は、飛行機、バスでの移動、これが長かった・・・


宿泊先の民宿に昼前について、民宿に荷物を置いた。

8人部屋でトイレは別途らしい。マジか!


昼ご飯を食べるとすぐにゲレンデに出て、

組ごとに、スキーチームとスノーボードチームに分かれて

みんな初心者講習を受けた。


初心者講習は正直、退屈だったけど、

久しぶりのスキーはすっごく楽しかった。


寝るのは8人部屋で、梁多、花角晃司、佐々与次郎、桐生英雄、南館大輝、

船見悠平、網中鷹志の男8人だ。敵はいないから、いい部屋割だと思う。


ただ、南館は妃鞠のことが好きらしく、俺が親しいのがゆるせないみたいだ。


船見には父さんが捕まったことを知られた後はよく嫌みを言われ、

さらにバスケットボールをぶつけられた。

だけど、それをSNSにさらすぞって脅かしたら、

脅しだけなのはバレていたけれど、ちゃんと謝ってくれて、

それ以来は、お互い近づかないようにしている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『二人っきりにさせるな!』

これ、一番怪しいのは葵ちゃんと西平で、就寝時間以降だと思う。

葵ちゃんに深夜の見回りの時間を尋ねたらいいかと思ったのだが、

・・・聞いたら、「コイツ、何考えてんの、今日は修学旅行ゾイ!」

って嫌われそう!


寝る前に、さりげなさを装って、葵ちゃんと妃鞠にラインで

『久しぶりのスキー、楽しいね!』

って送ってみたら、

『うんうん!』

『明日の上級者チームが楽しみ!』

『うんうん!』

って返事が来た。


やっぱり、就寝時間以降で、おそらく葵ちゃんと西平だ!


だけど、お稲荷さま、何時に起きればいいのさ?

とりあえず、23時に起きてみたけど、いびき以外は何も聞こえない。

移動とスキーで疲れすぎていて、眠い・・・


トイレにいって、個室で座ってじっと待っていたら、

少しだけうつらうつらしてしまった。

うん、何か声が聞こえて来たな、これか?


トイレの外に出てみると、

「いいじゃないですか、好きなんですよ!ずっと大切にしますから!」

「止めてください・・・」

担任の西平が嫌がっている葵ちゃんの手を掴んで、さらに抱きしめようとしていた!

「葵ちゃん!」

俺の大声にぎょっとした西平の力がゆるんで、葵ちゃんは手を引き抜いた。


「・・・何をしている、錦埜!」

西平が俺を睨みつけ、憎々し気なうなり声を出した。


葵ちゃんが素早く俺の背中に隠れた。

うお~、相手が担任だろうが何だろうが、葵ちゃんは絶対に守ってみせる!


「葵先生、メチャクチャ嫌がってますよ。」

キレかけている西平に対して、睨み付けて静かにケンカを売ってやった!


「俺はなんにもしていない!お前が何してんだ!」

西平が1歩近づいてきて、その声が大きくなった!


「葵先生が嫌がっているのに抱きしめようとしていたよね、手を掴んでたよね。」

「うるさい!お前は何してんだ!」

さらに西平が1歩、近づいてきて大声を出すから、息が臭かった。


「見てたでしょ。トイレから出てきたのを。あ、俺は1人だけど。」

西平からぶちっとキレた音が聞こえた。


「生意気なんだよ、てめー!いつも俺を邪魔しやがって!」

突然、ドンと思いっきり突き飛ばされて、俺は壁に背中をぶつけて、

余りの衝撃に跪いた。


「きゃー、幸介くん!」

葵ちゃんの悲鳴が静かな廊下に響き渡り、向こうから校長先生たちが走ってきた。


「西平先生、何があったんです?」

校長先生の問いかけに、西平はいつもと違う甲高い声で、早口で話し出した。

「コイツが俺を殴ろうとしたんで、突き飛ばしてしまったんです!」


「嘘、嘘、嘘です!」

西平の言葉を葵ちゃんが全力で否定した!


今度は、校長先生は俺を見た。

「大丈夫かい、錦埜君?」

「はい、これを聞いてください。」

スマホを取り出して、録音していたのを再生した!


「お前っ!」

西平が俺を憎悪に満ちた目で見た!

音声が流れると校長先生の表情が厳しくなっていって、

逆に西平は精気を失っていった。


「・・・西平先生。ちょっと自分の部屋で頭を冷やしなさい。」

厳しい表情となった校長先生の厳しい一言に、

西平の顔は青ざめ、とぼとぼと自分の部屋に戻っていった。


「こう、錦埜君、治療するから私たちの部屋に。歩ける?」

「いや、大丈夫です。」

「ダメよ。来なさい。」


「東雲先生。すいません。先生といえども夜の見回りは男女別々にすべきでした。」

「私は大丈夫です、校長先生。」


葵ちゃんの部屋にいくと財前先生は起きていた。

財前先生は大きな胸とその谷間が強調されるような寝間着だ!


もしかして、ブラは無しですか!

財前先生、ヤバいです。その姿は男子高校生には猛毒デス。


「見ちゃだめ!ざ、財前先生、もう一枚羽織ってください。」

葵ちゃんが財前先生の前に立ちはだかった。


も、もう少し、見たかった・・・


財前先生に西平との出来事を説明した。


葵ちゃんが頬を赤く染めながら感謝してくれた。

「幸介くん、助けてくれてありがとうね。

来てくれてすっごくホッとしたよ。」

素晴らしいご褒美だ!俺は報われた!


財前先生がニヤニヤしながら話しかけてきた。

「カッコいいわあ。ステキねえ、白馬の騎士ってやつね。」

「えっと、枕が変って寝にくくって、環境が変って個室に入る時間がズレたんです。

めっちゃかっこ悪くて、白馬の騎士ってガラじゃないですね。」


「ううん、ありがとう。かばってくれたから、すっごく嬉しかったよ。」

葵ちゃん、ヤバい!可愛いすぎます!2人きりなら抱きしめてますよ!


「あれ、もしかしてお邪魔かしら。じゃあ、若い人は若い人どうしで・・・」

財前先生がニコニコしながら立ち上がった!


「あ、ありがとうございました。じゃあ、部屋に戻ります。」

慌てて立ち上がった俺を財前先生が呼び止めた。

「あっ、ピースケくん、ご・ほ・う・び!」

妖艶な表情を浮かべた財前先生がふわりと優しく抱きしめてくれた!

ヤバい、いい匂いが!大きな胸が!柔らかい~!

ここは天国だあぁぁぁぁぁ~!


「&%$$#“!」

葵ちゃんが言葉にならない言葉を発して、俺と財前先生を引き離した。

葵ちゃんがゼーゼー言っているぅ~!


「うふふ、葵先生、可愛いわぁ~」

財前先生は超楽しそうだった!

葵ちゃんをからかうためだったのか!


ありがとう、お稲荷さま。今日も感謝申し上げます。

今日も2カ月前には想像できない1日でした。

哀れな子羊に引き続き正しい道をお示しください!


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