第14話 『教室から探せ!』
今回のキャラ
舛水三典・・・学年一の秀才。嫌味っぽくって女子から嫌われている。
浅枝鈴也・・・葵ちゃんが手を振ってくれたと勘違いして惚れてしまった可哀そうな
男子。
馬川たかみ・・・幸介に嘘告したけどフラれた女子。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
『教室から探せ!』
頭の中で鐘の音とともに詐欺師っぽい口調でアナウンスがあった!
「はあぁ。何か、無くなるんだ・・・」
「落ちこんどるゾイ。」
「・・・」
「・・・頑張るゾイ。」
「ありがとう。行ってきます。」
教室に入って恐る恐る「おはよう。」っていつもどおり声を出したら、
騒がしかった教室が静まり返ってしまった。
「なんで来てんだよう!」
バカが戯言をほざいていたが、当然、無視だ。
「「「おはよう!」」」
梁多、千家、妃鞠が笑顔で挨拶してくれたけど、挨拶だけでホントに感激した。
自分の席に着くと、梁多がスマホを取り出した。
「新しいライングループを作ったんだ。幸介、入るよな?」
ちなみに、クラスにあった全てのライングループから追放されていた。
「いいの?」
「ああ、優姫ちゃんと東雲さんとの4人だけのグループだ。」
お前ら、どうしても俺を泣かせたいみたいだな。
だけど、泣かないよ?絶対に我慢してみせる!
そのかわり、今までは既読スルーばかりだったけど、
今度からは俺のギャグセンスをいかんなく発揮して見せるよ。
健太:嫌がらせとかされたらちゃんと教えてくれよ。
妃鞠:うんうん。
幸介:ありがと。いま、クラスメイトの中で千家が一番厳しい!
優姫:牙突を喰らわせてやるよ
幸介:殺さないで~
妃鞠:優姫をイジめたらダメよ!
幸介:あれ?俺がイジメられているんじゃ・・・
健太:優姫ちゃんをイジメる奴は逝っとけ!
幸介:あれ~?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後、舛水三典、浅枝鈴也と馬川たかみの4人で掃除していた。
集めたゴミをゴミ箱に放り込むと終了だって思ったら、
すぐに舛水が教室にそのゴミをぶちまけた!
「おい、何するんだよ!」
俺の怒りの声をよそに、舛水、浅枝と馬川は「後はよろしく!」と
言って気持ち悪い笑顔で出て行った。
自分のしたことが醜いことだっていつになったら気づくんだろ?
ため息をついてから1人で再度掃除を終わらせて、さあ帰ろうと下駄箱を見たら、
俺の靴がない!
お稲荷さまのお告げを思い出して、教室に戻って探したけれどない!
どうしたお稲荷さま!
うん?『教室から探せ!』だったよな・・・
教室の窓から外を眺めてみたら、部室の白っぽい屋根にポツンと黒い物体がある!
あれか?
上履きのまま、運動場を歩いて靴?があるところに来たら、
女子運動部の部室だった。
うわぁ、気まずいぃ~。
躊躇していたら、ランニング中の女子が立ち止まった。
「どうしたの、こんな所で?」
妃鞠と名前は知らない水泳部の女子3人だった。
妃鞠は俺の上履きに気付いて、はっとしていた。
「この部室の屋根に俺の靴があってさ、どうしようかなって・・・」
「ええ~、なんで?」
事情を知らない水泳部の女子が疑問の声を上げた。
「父親が万引きしたことがバレてからの、クラスメイトの嫌がらせ、かな?」
「えっ、お父さんが・・・」
「・・・でも君に関係なくない?」
「しかもたかが万引きで?」
「「「ひっどっ~」」」
黙っていた妃鞠の険しかった表情がほどけた。
「取りに行ける?高いけど怖くな~い?」
妃鞠が弾けた笑顔を傾けて、からかってきた。
可愛い!楽しくなってきた!
「行けるし!怖くなんてないんだからね!」
精々、道化っぽくいってみたら、妃鞠も大げさなポーズで揶揄ってきた。
「うんうん。怖かったら代わりに行ってあげるよ!」
「へっちゃらさ!」
怖いんじゃないのっていう揶揄いの妃鞠の視線を浴びたから、
平然としたフリでよじ登った。
部室の屋根に上がったら、やっぱり俺の靴が転がっていた。
あ~、よかった。
靴を履き替えてかっこよく飛び降りた。
あ~、怖かった!
妃鞠と水泳部女子3人に向かって笑顔でお礼を伝えた。
「ありがとう、助かったよ。」
「うんうん。」
妃鞠が可愛らしく肯いた。
3人の女子たちはニヤニヤしていた。
「うんうん、泣きたくなったら妃鞠の胸の中で!」
「うんうん、ぎゅっと抱きしめてくれるよ!」
「うんうん、よしよしっ慰めてくれるよ!」
「うんうんって、そんなことしませんから!」
女子のノリって凄い!
揶揄われているのに、妃鞠は怒っていなくて、照れているカンジだ!
もしかして可能性有りなの?
「バイバイ!」
「じゃあね~。」
妃鞠たちは俺に手を振ってまた走り出した。
「ホントにありがとう!」
お稲荷さま、今日も感謝です!
イジメも美味しいご馳走になりそうです!
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