第7話 『お墓参りに行こう。』 

フォロー、☆、楽しいコメント、ありがとうございます!


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


宝くじで3億8千万円当たって、人生、スーパーダッシュを決めた俺。

だけど、生涯働かずに過ごすには全然足りない金額だから、

人生について真面目に考えてみた。


どんな男だったら、妃鞠を射止めることが出来るのか?

そうだな、やっぱりそこそこはイケメンでないとな。

で、勉強やスポーツが出来る。努力はアリでもナシでも可。

最低限、これだけ。


うおい。人生について考えるつもりがそっこー、妃鞠のことになっていたわ。

ビックリだわ。


俺は1ランク上の高校に入って、最初の実力試験で下から10番に入ってしまい、

それからは赤点だけを回避するようにしていた。

クラブも入らず、何にも力を入れず、ダラダラしていた。

これで、好かれる方がおかしい。


お稲荷さまに初めてお祈りしたとき、確か

「妃鞠と付き合いたい」って祈ったハズ。


何度も『がんばれ』って出るのは、

劇薬で妃鞠に好かれようとするワケじゃなくって、

妃鞠に相応しい男になれってことなのか?・・・無理ですな。


うん、妃鞠に相応しいのは無理だと思うけど、少しでも近づかないと・・・


だから、やってみることにした。

とりあえず、勉強は平均点を目指す!(謙虚)

キックボクシングで強くなる!

この2点だ!


★★★★★★★★★★★



次の土曜日、朝に勉強したあと、お稲荷さまにお参りにいった。

『お墓参りに行こう。』

頭の中で鐘の音とともに、いつもとは違う真面目なカンジでアナウンスがあった!

「妃鞠のお母さんが亡くなって、4年半か・・・」

「親しい人が亡くなるのはツラいゾイ。」

「本当に・・・じゃあ、また明日。」


お稲荷さまへのお参りがすむとランニングに出かけた。

母親に、妃鞠のお母さんのお墓の場所を訊いたら、

20分ほど走れば着くので行ってみることにした。


そこは大きなお寺のすぐ傍で、たくさんのお墓があった。

・・・こりゃ見つけるのは無理かなって思いながらゆっくりと歩き出した。


「幸介!」

向こうの方で妃鞠が笑顔で手を振っていた。

「おはよう!」

「おはよう、来てくれてありがとう!」


笑顔の葵ちゃんもお坊さんもいた。

「ああ、君はお葬式の時、号泣していた子だね。

大きく、立派になったね~。」


40歳くらいの恰幅のいいお坊さんが懐かしそうに声を掛けてきた。


お、覚えてたのね~

「うん、泣くっていうことは故人を惜しんでいるってことだからね。

みんな、君が泣いてホッとしたり、喜んでくれたんじゃないかな。」


そうだといいんですが・・・


お母さんのお墓に仏花を捧げてお参りした。

『娘さん二人とも綺麗で、可愛くて、素晴らしい人になっていますよ。

だから、安心してお眠りくださいね。』


お墓参りが終わると葵ちゃんがニコニコしながら誘ってくれた。


「ちょっと早いけど、昼ごはん食べに行かない?お姉さんが奢ってあげるよ!」

葵ちゃんと妃鞠は自転車で、俺はランニング中でジャージ姿だったから、

近くのファミレスに行った。


俺の正面に妃鞠がいて、右隣には葵ちゃんが座った。なんで?

ドキドキが止まらな~い!


食事が終わってドリングバーでジュースを入れてまったりしていると、

葵ちゃんの目がキラリンと光った。

「ねえ、幸介くんは彼女とかいるの?」

「い、いないけど・・・」


「じゃあ、どんな子が好みなの?」

両手を組んで、キラキラとした目をしながら食らいついてきた!

「うんうん!」

妃鞠も座りなおして興味深げだ!


好きなのはキレイ系妃鞠で、可愛い系なら理想は葵ちゃんだけど・・・

我ながら最低だな・・・

「綺麗で、優しくて、楽しい子がいいな。」


「贅沢ね。」

妃鞠がバッサリと断罪したが、これ貴女のことですけど!

やっぱり普通の俺には贅沢ですかね?


「理想くらい贅沢言ってもいいでしょ。葵ちゃんも教えてよ。」

「うーんとね、ガツガツした人は苦手で、優しくって、頼りになる人がいいな。」

さっきまでと打って変わって、葵ちゃんは下を向いてしまって、モジモジしている。


俺はガツガツしてないけど、高校生だし頼りがいはないな・・・無念!

頼りがいがある風に装うのは・・・ガツガツしているんだよな~。


妃鞠が俺と葵ちゃんを見比べている。なぜ?


「・・・えっと、妃鞠は?」

「そうね、どんなイケメンでも知らない人はイヤね。

やっぱり凄い所があるとか、頼りになる人がいいのかな?」


俺を品定めしているような目つきだ。

凄い所はないし、頼りには・・・ならないな・・・無念!


いや、3億あるぜ、ウェ~イって言ってみるか?

バカ丸出しだな、自分で稼いだ金でもないのに・・・


「そう言えば、なんで今日、お墓参りに来てくれたの?」

「昨日、カッパも傘も持ってくのを忘れて困っていたら、

妃鞠が傘に入れてくれたんだ。」

「えっ!相合傘!」

葵ちゃんに睨まれた妃鞠は外を見て鳴らない口笛を吹き始めた!

可愛いわ!


「その時に、お母さんの話題になって・・・」

「来てくれてありがとう。お母さんもきっと喜んでいるよ。」

「うんうん。」

二人に満面の笑顔を浮かべられて最高に幸せだった。


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