第2話 『ギャンブル運サイキョー!あるだけ突っ込め!』
たくさんの★★★★★、フォロー ありがとうございます。
2話、3話は動きがない回なので、今日だけ3話投稿します。
それでは、お楽しみください。
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葵ちゃんに元気にしてもらった後、妃鞠に撃墜され、
落ち込んだまま自転車を漕いで家に向かっていた。
神社が見えて朝の出来事を思い出した。
『ギャンブル運サイキョー!あるだけ突っ込め!』
頭の中にアナウンスがあったのは凄いけど、
口調も言葉も詐欺師っぽいんだよな・・・
でも、現状、妃鞠と仲良くなるには劇薬が必要だ。
妃鞠と何にも無かっても、金があるに越したことはないし。
ギャンブルか・・・競馬、競艇、競輪、パチンコくらいか?
いや学生服で行けないだろ!どうする、どうする、俺!
ショッピングモールに近づいたら「宝くじ」って幟が見えた!
これだ~!
ジャンボ宝くじは・・・今日が抽選日じゃないのか・・・
じゃあ、これか!
小遣いの残り2000円で好きなアニメのスクラッチを買ってみた。
1等500万円だ。
おばちゃんが出してくれた4セットの中から光っているヤツを1つ取って、
10円玉で擦ってみた・・・
「うお~」
当たった!1万円だ!これだ~
「おめでとう!凄いですね!」
やる!凄い!あの神託?予言?お告げ?は本物だ!
「あるだけ突っ込め!」
もっと高額なのは・・・
今日は金曜日、これだ!ロト7だ!
理論値6億、キャリーオーバー発生中だ!
俺の誕生日、あとは・・・妃鞠、葵ちゃんの誕生日でワンセット。
あとはランダムで、1口300円を32種買ってやったぞ!
あるだけ突っ込んでやったぞ~!
帰る途中、朝のお稲荷さんお参りすることにした。
お稲荷さんには誰もいなくて、もう、祠は荒らされていなかった。
ほっ。
最後にたった一枚残った100円玉で買った
オレンジジュースの蓋を開けて、神棚にお供えした。
そして、二礼二拍手一礼する。
「宝くじ、当たりました。ありがとうございます。
油揚げはまた、今度で。」
今度は頭の中にアナウンスが流れることはなかった。
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抽選は18時45分ということで、家でじっと待っていると
何てバカなことをしたんだと後悔が押し寄せてきた。
1万円・・・
ちょっと儲けさせてガッポリ奪っていくって、詐欺師の常とう手段じゃないか!
晩御飯が出来たので、母親と妹の莉子と一緒に食べた。
父親は残業か、飲み会か・・・
夕食が終わると、19時15分になっていた。
さて、番号を確認するか・・・
やっぱり、滅茶苦茶ドキドキするな・・・
今日のロト7の当たり番号は・・・
「05、06、09、10、17、18、29、・・・
あた、あた、あた、当たってるぅ~」
絶叫してしまうと母親と莉子が何事かと俺の部屋にやって来た。
「おい、こーすけ、頭大丈夫か?」
いつもどおり莉子の口が悪すぎる!
「いや、ちょっと、これ、これ、これ見てくれよ~!」
「うるさい!」
ぺしっと頭を叩かれた。
「これ、当たっていると思うんだけど、どうかな?」
自分の目だけでは信用できないので、二人にも見てもらうと・・・
焦ったのを見たことない母親が焦りだした!
「ホ、ホントに当たってる!い、いく、いくら、いくらなの?」
「・・・3億8千万くらい!」
「・・・3億!」
莉子が俺の腕をガシッと掴んだ。
莉子の目が血走っている~!
「こーすけ、アタシに1億、1億でいいから!ね!可愛い妹でしょ!ね!」
「ええい、うるさい、全部俺のモンだ!」
「何でよ!1億くらい、くれてもいいでしょ!」
「俺が買った宝くじだ!俺のもんだ!」
醜い家族間の争いが始まってしまった・・・
3億8千万が当たったその夜、緊急家族会議が開かれた。
3億8千万か・・・理論値6億で、キャリーオーバー発生中だったんだけど。
当選者が3人もいたみたいだ。
しまった!俺と妃鞠と葵ちゃんの誕生日に全振りしておけばよかったよ。
凄い金額だけど、一生分には足りないな・・・
凄い金額だから、もちろんすっごい嬉しいけど。
最高権力者であらせられる母親が重々しく宣言した。
「家に1億入れなさい。残り2憶8千万は、幸介が使いなさい。
そのうち、3千万くらいは早いとこ使っちゃいな。」
1億を家に入れるか・・・
家のローンも残っているみたいだし、家族のことは好きだし、まあ当然だね。
でも・・・
「早いとこって、3千万って高校生が使えるの?」
「ぱあっと使っちゃいな!それでお金に強くなるんだよ。
で、残りのお金は大事にね。」
「いいな~、いいな~。ねえ、お母さん、ねえ、ねえ!」
莉子がお母さんにガキのように甘えている~!
「次の休みにお買い物行こうか?欲しいモノ買ってあげる♪」
「やった~、ママ、大好き!」
・・・莉子よ、それは俺の宝くじが原資では?
買いたい物か・・・
スマホを新しいのに変えて、一番高いプランに変更して・・・
時計や服には興味ないし・・・
高い飲食店には1人で入れないし、同級生を招待か?ないな!
旅行!・・・は一人で行ってもな~。
車は欲しいけれど、免許がまだ取れないし・・・
ロードバイクか?いや、前にかごと後ろに荷台がいるから、ダメだな・・・
どうやったら3千万使えるんだ!
妃鞠に3千万で恋人になってくれって言ってみるか・・・
うん、軽蔑されるな!
夜、寝る前に、クラスでいくつかあるラインを確認した。
俺の立ち位置は「下の方」だけど、「運動部系」「文化部系」の二大派閥ともに加わっていたのだが、
文化部系から追放されていた。
対馬宗次郎が文化部系のトップだからな・・・
対馬は学校のトイレの鏡の前で髪をときながら、
「オレってなんてカッコいいんだろう・・・」
って自分に酔いしれている奴で、軽音楽部でいつも歌を歌っているらしい。
対馬がフラれたのは嬉しいけど、妃鞠はどんな奴がタイプなのか?
対馬とも結構、仲よさようだったけど・・・
俺は小学校までは同じクラスで、よく遊んでいたけれど、
中学になってクラスが分かれ、疎遠となってしまった。
好きだと意識し始めて恥ずかしい上に、何を話したらいいか分かんなくなったし・・・
妃鞠がこの市内で一番賢いこの高校を受験するって知ってから
より頑張って勉強して合格し、2年になってから念願の同じクラスになったけれど、
挨拶ぐらいしかできていない。さっきもチャンスだったのに・・・
妃鞠は男子からも女子からも人気があって、いつも笑いが絶えない中心にいる。
いつも端っこにいる普通の俺がどうやったら、妃鞠と仲良くなれるのか?
幼なじみというアドバンテージを全く活かすことができない、この俺が・・・
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