16「お前たち、何を密談している?」
経験上と、言い切るほど旅を重ねてきたわけではないけど、僕と銀君の勘は一致していた。この森が修復可能かどうかを知るためにも泉に向かう必要がありそうだ。
僕の持つスマートフォンには不思議な機能が追加されていて、施設で起きた過去の出来事を映像として見、そこから修復の糸口を探ることができる。でも過去を見るためには施設の中枢部分へ行かねばならない――というのがこれまでのパターンだった。この森でもおそらくそうだろう。
「僕の見立てだと、泉までこーやんの足なら一時間ってところかな? 僕が魔狼になれば
「うーん。相手が植物なら、
「
「そっか、そうだよね」
二人で顔を寄せ合って明日の相談をしていたら、いつの間にか音もなく目の前に
明るい焚き火を背に僕らを見下ろす
「お前たち、何を密談している? 俺の瞳が黒いうちは、嘘も誤魔化しも一切通じぬものと思え」
「わーすみません! 先輩たちを誤魔化すつもりは一切なくってですね!?」
「ならばその計画とやらを俺にも、包み隠さず話すがい――痛ッ!」
鈍い音がして、
「その物騒な物言い、あとで添削してあげましょうねえ。それはそれ、二人とも水臭いじゃない。そんな危なっかしい対策取らなくってもさ、最高の護衛ならここにいるでしょ?」
「あっ……でも、先輩たちには、任務が」
「私たちの任務は行方不明の調査員を捜して可能なら森の調査もしてくること、だからね。
やや不満そうではあるけど黙っているということは、
「ありがとうございます。護衛、していただけると、とても助かります」
僕は戦闘能力が皆無だし、銀君は
ありったけの感謝を込めて頭を下げれば、
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