13「そんな顔しないで」
お二人は、本来なら横浜の大学に通う大学生だという。サービス終了の最終日にゲーム内チャットでサヨナラカウントダウンをしている最中、気づけば持ちキャラ《アバター》と意識が同化していたらしい。
異世界ラノベにありがちな交通事故に遭って……などという事情ではなかったけれど、元に戻れない現状、あちらで身体がどうなっているのかもわからないそうだ。
不幸中の幸い……なのかな、お二人ともゲーム内では闘技場のランカーになるほど強く、その設定と記憶がそのまま反映されているので呪い竜や普通の魔獣程度なら敵にもならない。その強さを王様に見込まれ、今は『
「……そんなこと、あるんですね」
「そんな顔しないでよ。そりゃ最初は……びっくりしたし、ショックも大きかったけどねえ。今は、これもアリかなって思ってるよ。こうやって君の救援信号をキャッチすることもできわけだし」
明るく笑って話してくれた
ここはもうゲーム世界ではない。失われたものは、――命も、財産も、つながりも、取り戻せない。
あの大崩壊の日から今までここに根差し、龍都を
「お二人は、望んでここに来たわけではないんですよね」
「それはそうよ。というかそもそも望んで来れるような場所じゃなくない……――え、
情報を共有することでお互いに何かヒントが得られるだろうか。お二人は僕以上に長くここにいて今の世界のことを良く知っていて、僕にとっては頼もしい先輩のような存在だから、事情をわかってもらえたらとても心強いのだけど。
「……はい。実は――」
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