第31話 矛と盾

 「あなたはなにか勘違いしているようだ、まるで私がこの世には居ないかのように」千鶴はそう言うと、背後から何かをだす。千鶴は言った「永久不滅の魔人には死という行為は等しく無駄なんだよ…」


「次のニュースです町外れでタクシー運転手の遺体が見つかりました。遺体は理解できないような解剖をされており新政府の仲間割れかとも言われています」

 奏はテレビを見ても最近こんなニュースばかりだとしか感じなくなってしまった。どこもかしこも新政府のネタばかりでとてもつまらない。

 秋はずっと事件の行方を追っていた。このままでは都内の崩壊に繋がってしまう。そこで今日は1人で都内を張り込んでいる。すると秋は怪しい男が今は使われていない廃墟に入っていく、はっきり言って廃墟に良い思い出は無いが仕方なく入っていくことにした。すると後ろから「みぃつけたぁ」とそのまま頭を打ちつけられ気絶してしまった。

 目を覚ますと手足を鎖で縛られ牢屋のような場所に入れられていた。

 男が近づいてくると鉄格子越しでこう言う。

「俺の名前はコードネーム矛」

秋は新政府の連中だとすぐに感づいた。矛はとても大柄な男だ。まず対人戦だと敵わないだろう、そしてもう一人奥から出てくる「あいつはコードネーム盾」と話す。

「そして今回はお前に薬を投与して実験を行ってやるるるる」と矛は話す。

だが秋は苦笑いした顔で「相手が悪かったな」と言う。矛は「なんだ?やせ我慢か?」と笑った様子で言うと、扉が開く音がする。

そして優愛の声がする「秋くんお疲れ後は任せて」と言い、優愛が「操」と言うと、周りの実験体の魔人が動き出す。動き出した魔人が矛を襲い始めると優愛は秋の鎖を解き廃墟を出ようとする。

矛は怒った様子で「絶対逃さねぇ」と言うが、秋が「相川さんしっかり摑まってて下さい」と言うと烏が飛んできて2人を空へ運ぶのだった。優愛はにやにやした顔で「やるねぇ秋くん」と言った。秋は照れた様子で優愛とは別の方を向きながら「それほどでも」と言った。

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