第26話 到着

 隼人は暇を持て余していた。校舎の周りをずっと回っていたのである。そしてその暇が今解消されようとしている。目の前に麗央が立っているのだから。

麗央が言う「急いでるんでね、そこをどいてくれないか?」

「それはできないな、折角最強の男に会えたんだ、楽しめる時は楽しまないと♪」

「会話が通じないようだな、今すぐどかしてやる」

麗央は目で追えないスピードで連撃を繰り出す。

だが隼人はそれすらも追うほどに体を華麗に使い避けていた。

「次は俺からいかせてもらうぜ」と隼人が言い放った途端、隼人の後ろから屋上に居た魔人たちが降ってくる。隼人は体を掴まれたので仕方ないといった表情で戦闘をやめ魔人を相手にするのだった隼人の「ちょっと待ってろ」という言葉も聞こえないほど麗央は急いでふたりの特級魔人がいるところへ向かった。隼人は魔人を倒すと呆れた表情で追いかけていくのだった。


          到着


 6人はなんの抵抗も出来ずに倒れていた。聴覚は戻っているようだが視覚はまだのようだ。麗央は仮面の魔人と対面している。その瞬間一瞬で距離を詰め攻撃を仕掛けるが麗央も視覚を奪われてしまう。

そのまま仮面の魔人の拳がボディに入る手前麗央は避ける。「視覚がなくても避けることぐらい容易い、そんな訓練を俺はずっと行ってきた」

「零」仮面の魔人の動きが止まる、全ての認識を遮断し、そのまま麗央は仮面の魔人にトドメを刺そうとした瞬間、触感を奪われてしまう。普段感じない違和感から1秒油断してしまう。そしてその1秒が仮面の魔人に逃げる隙を与えてしまった。麗央は立ち止まり無言で6人全員の安全を確保する。一方隼人は麗央を追いかけるのを諦め、学校の地下室へ向かっていた。普段は学校からの監視がある場所なので迂闊な行動は制限されているが今回は違う。好奇心に抗うことは出来ず、向かってしまう。体育館倉庫の床にあるダクトを開けて石でできた階段を下りると部屋があった気分が上昇しすぎて抑えられないほど興奮しすぎていた隼人が扉を開けて発した言葉は

「なんだよこれ」


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