第18話 今はただ君に感謝

 悲しいものだった。一撃当てたからと油断していた。相手の能力も見定めずに、遊人「瞬」と言った瞬間目で追えないほどのスピードで繰り出される攻撃。ただひたすら防御しかできない。奏の顔は腫れ。左腕も骨折したであろうボロボロになりもう戦えないほどにだがその瞬間だった。黒紫の結界を破り入ってくるものがいた。奏は目の前を見る。「光一先生…」光一の乱入。光一は言った「奏君まだ戦えますか?」と、「右腕が残ってる、全然これからです」と奏は言った。遊人は苛立ちを隠せない様子で「これだから人間は嫌いだ群れてなんぼの生き物のくせに」と言い放つ。だったらそんな人間に勝ってみろと言わんばかりの勢いで光一は光の速さと同等の連撃を繰り出す。遊人はこれ以上ない屈辱を味わい立ち止まる。光一は言う「上級魔人でもここまで知能の発達と戦闘能力の高い相手は初めてですだからこそここで仕留める」

遊人は「黙れ黙れ黙れ黙れ、俺は特級になる男だぁぁ」と叫びながら瞑想する。しばらくすると上を向き「魔結界」と言う。その途端、光一と奏と遊人の下から結界が出てきて取り囲む。結界の中には骨のような白い柱が何本も立っており完全閉鎖空間となってしまっている。光一は言う「見くびっていました。多重結界を使う相手は初めてだ。そしてこれは私たちの負けだ」

「そうかい?でも今はただ君に感謝かな」と笑みを浮かべながら遊人は言う。

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