第14話 家路



 大きな駐車場

道の反対側には薄汚れた灰色のビル


 夏の夕暮れ時にはまだ早く

落ちて行く太陽が眩しい中

同じような格好をした男たちが

肩に鞄をかけて

いったいどれくらいの量が入るのだろう

水筒を片手にぶら下げ

灰色のビルから大きな駐車場に向かって

互いに笑い合いながら流れて行く


 誰もが家に帰り

冷たい麦酒を望んでいる

生活が苦しいと言いながら

この至福の時間だけは

毎日のように続いている習慣のようなもの


 女は子育てとパートタイムの仕事

洗濯物を畳めば夕食の準備に忙しい


 男はコップを空にすると

シャワーを浴びにバスルームへ


 早朝には女が回す洗濯機の機械音が

子供たちと男たちを目覚めさせるのであろう

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