第15話 風の中の蜻蛉



 強い風が吹き始め

蝶が鮮やかに踊りながら

何よりも美しい舞を演じる


 花の咲き乱れる野は

最後の夏まで生命を謳歌し

秋がやって来るまでと

小虫達が忙しく働らけば

その周りで蜻蛉達が見事なホバリングを見せる


 まだ来ぬ秋を待つのではなく

今この残暑の続く中

最後の最後まで生き抜こうとしているかのよう


 何処から来たのだろうか

風に乗り緑の葉が一枚通り過ぎれば

空中停止していた蜻蛉が風に向かって

勇ましくも急旋回をして視界から消え去った

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