第10話 田園風景

 涼しげな朝

それも陽が登れば

難なく猛暑で肌を焼いてくれる


 半袖のシャツで

ハンドルを握り締めてスロットルを回せば

暑い空気に熱い息を吹きかけるように

マフラーが排気ガスを吐き出す


 焼けたアスファルトを滑り出し

タイヤが暖まるのを待たずとも

しっかりとタイヤがヘアーピンカーブに食い込む


 木々の影が隠す灰色の道に

時に目が眩みそうになる太陽が覗き

光と影の道でしっかりと前を見る


 峠を越えれば田園が広がる村に出て

村人たちが利用する農道でスピードを落とし

暫し休憩と青空の下

畑で働く人を横目で眺めれば

ストローハットの下でダークグリーンのレイバン


 この村で

この大地の上で

畑を守る跡継ぎの若者か


 畦道に腰を下ろして

その若者を見ている初老の男は

息子の成長ぶりを確かめるかのように

うんと頷き水筒からコップにお茶を注いだ

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