第27話 黒い影
「穂波ちゃん最低!」
「お前、もう学校来るなよ!」
「また友達泣かせたの? 私、穂波ちゃんと仲良くするのやめる」
痛い痛い痛い痛い痛い。
心がとても痛いです。
みんな私から遠ざかっていきます。
みんな私を嫌いになります。
だけど心が痛いのは私の方じゃなくて、私が傷つけてしまったクラスメートたちの方です。
だから。ここで立ち止まっている場合ではありません。
「夏休みが終わってからずっと様子が変だけれど、なにかあったの?」
放課後担任の先生に呼び出されたかと思うと、そこにはとても心配そうな表情をした先生がいました。
いままでは私がやることを怒ってばかりでしたけれど、さすがにここまで続くとなにかがおかしいと感じたのでしょうか。
「なにもないけど」
私は敬語も使わず、隣の先生の椅子に勝手座って答えました。
その態度にも担任の先生は怒りませんでした。
「家でなにかあったりしてない?」
先生は質問しながら私の体をなめるように見つめてきます。
きっと、家庭内で虐待が始まったのではないかと、心配していたのでしょう。
だけど、もちろんそんなことはありません。
私のお父さんとお母さんはとても優しい人たちです。
最近は私の素行に悩んでいるようですけれど、手を出してくることはありません。
「そう? でもここ最近のあなたはまるであたなじゃないみたいよ?」
その通りなので驚きました。
最近の私は悪い子を演じています。
悪い子になろうと必死です。
「そんなことないし。なに言ってんの?」
私は悪い子になろうとしているので、先生の心配も突っぱねてしまいます。
足を机の上に置いたりもします。
先生はそんな態度の私を見て深く深くため息を吐き出しました。
どうすればいいか、私の扱いに悩んでいるみたいです。
「ねぇ、もう帰っていい?」
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