第2話 夏休みの出来事
【なにそれ、どういうこと?】
メールで返事をすると、文字のやりとりがもどかしいと感じたのか、今度は正樹から電話がかかってきました。
突然震えるスマホに驚き、咳払いをしてから出ました。
「もしもし?」
『おう、瑞希か?』
「うん。さっきのメール、どういうこと?」
『俺も詳しくはわからないんだけど、さっきコンビニでタッチーと会ったんだ。そしたらタッチーが、穂波がいなくなったって聞いたっていうからさぁ。瑞希、なにか知ってるか?』
タッチーとは隣のクラスの男子生徒で、5年生の頃同じ私とクラスだった噂好きな生徒です。
「なにも知らない。穂波に連絡は入れてみた?」
『連絡してるけど電話には出ないし、メールも返事がないんだ』
「家には?」
『これから行ってみようと思って、先に瑞希に連絡したんだ』
そう言われたとき私はすでにソファから立ち上がっていました。
一緒に穂波を探す時間はいくらでもあります。
宿題は帰ってからすればいいですから。
「わかった。出る準備するから、どこかで待ってて」
『おう。コンビニにいる』
そう言って電話は切れました。
私はスマホ画面を見つめてなんとなく背中を冷たい手で撫でられたような気がして振り向きました。
だけどそこには誰もいません。
私は想像の中の青白い手を振りほどくように勢いよくリビングを出て、自分の部屋に向かいました。
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