なんとか出来ることはやりましたわ。
「さあ、新井はどうだ!本塁はどうだ!コーチャーの手が回る!ボールはセンターからセカンドの平!バックホーム!!……ヘッドスライディング、タッチにいく!……セーフだ!ボールは3塁へ!祭もヘッドスライディングだ!!こちらもセーフになりました!!」
いいですね~。お祭りちゃんは本当にいい選手ですね~。
同期で入団したけど、新人自主トレの時には故障が見つかり、以降ユニフォームを着ている姿を見たことがなかったレベルでしたから。
ずっとビクトリーズのチームジャージでしたよ。そのイメージしかない。2軍のスタッフが足りてないから、道具運びや手入れをしたり、逐一グラウンド整備もやったり。
試合になったらスコア書いたり、情報技術系大学の出身ですから、練習や試合映像の編集やデータ解析班の手伝いもやっていたみたいで。
負荷も掛けられず、地味なトレーニングしか出来ず、同じルーキー達が開幕1軍目指してやっている中でずっと晴らせぬ悔しさがあった選手でしたから。
それが今やビクトリーズ打線で1番頼れる存在になっていますわよ。不動の3番打者。彼の見事な広角打法ぶりで3点目。
ヘッドスライディング5連発で掴んだ追加点。後はマジで勝星君次第という状況になった。
「ゲームは7回です。勝星はここまでジャガース打線を完璧封じ込んでいます。被安打0、無四死球、2奪三振。球数82球」
「とはいえ、この3巡目はそう簡単にはいかないかもしれません。打率3割越えのバッターが3人並んでいますからね」
「先頭バッターは平です。先ほどの打席はフルカウントから見逃し三振には倒れていますが、打率3割3分5厘のハイアベレージをマークしています。初球、インコース見ました。カットボールが僅かに外れています」
やっぱりここは強振してくるというよりは、まず1ヒット、1出塁が第1ですから、おっつけるようなバッティングになりやすいでしょうと。
外野守備コーチおじさんの指示もあり、外野は全体的に左寄りというポジショニング。
バッテリーはバッターの内側を攻めていくが、2球続いたファウルボールは共に3塁側だった。
アウトローいっぱいの124キロのストレートはボール判定。次のワンバンしたフォークボールはギリギリバットを止められた。
フルカウント。
緑川君の選択したサイン。それを2つ首を振ったショー君が振りかぶる。
インローの124キロ。バッターの平君はちょっと膝を引くようにして見送ったボールは、グリーンのミット。構えたそこにドンピシャに決まった。
「ボール!!」
それがそんな判定になった。ビシャッとキャッチングした緑川君が3塁に投げようとし
、バッターの平君も引いた足をホームベースの方へ戻すようなそんな仕草。
ヒャー!!というビクトリーズファンの悲鳴が響き、平君が1塁に歩いていく。
今のがボールですかぁと、ショー君は片膝を着くような格好になった後に立ち上がった。
右ピッチャーが放った左バッターのインローにジャストルッキングかと思いましたけど。ちょっと真っスラしながらコースギリギリにさぁ。
どっちかというと、平君のさっきの打席のインハイのがボールっぽいですわよ。それがあったから、今回のは惜しくもボール判定にされてしまったという闇を感じる。
2番は吉岡。彼も打率は3割3厘あり、ホームランも8本放っている怖い存在である。
しかも粘りよる。初球こそ、高めに浮いた122キロをスイングしてくれましたが、2球低めの変化球を見極め、次のアウトローのカットボールも外れてしまった。真ん中のチェンジアップでフルカウントととし、そこから3球連続ファウル。
いずれも決めにいった球。それをギリギリでカットするように粘られた後の9球目。そのカット打法の延長。低めのボールを打たせた。
「打ちました!詰まった当たりがファーストの後方だ!芳川が下がってジャンプ!!も、届きません!!打球がライトの前に転がる!」
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