まあ、このくらいはね。
柴ちゃんが任して下さい!って言った時はだいたいダメですからね。
柴ちゃんのホームランのみの得点で迎えた4回1アウト。
その彼の第2打席目である。初球低めに外れる変化球を見逃し、2球目のストレートを打ってファウル。3球目は変化球だった。ポイントが前にずれて、若干泳いだ格好になってセカンド後方へ打ち上げてしまった。
本人も打った瞬間に地面を向くようにして悔しがる。
「打ち上げて、セカンドの後ろ、高く上がりました。下がっていって……ライトが飛び込む!!……捕れません、捕れません!!ボールがこぼれる!!柴崎は2塁に到達しました。記録は………記録はヒットです!ツーベースヒット!どうしましたか。多少風はありましたが……」
「どうしましたかね。まあ、確かに若干風に流されてセカンドとライトのちょうど真ん中になりましたけど。今のは捕ってあげないといけませんね。ツーベースになってしまいましたからね」
ラッキーヒット来ましたわ。打った瞬間は完全にセカンドフライの雰囲気でしたけど、風に流された後はライトフライでしたの。
あかん部分を挙げるとすれば、セカンドの追い方を見たライトの選手が足を緩めたことですわね。
その分最後飛び込んだけど届かずとなり、しかもワンバンしてからグラブに当たっていますからヒット扱いという。
8番は赤ちゃま。
この人も打率が2割3分まで落ち込んできてしまっていますからね。たまに目の覚めるような長打をかますことはあるんですけども。
故障中のマテルがボチボチ2軍で復帰していますから、そろそろ打っておかないとあっさりスタメンを外れることになってしまいますからね。
しかしここは簡単に追い込まれてしまい、アウトローに逃げるスライダーをちょこんと合わせただけ。
サード正面のゴロ。
その瞬間の柴ちゃんを見て、俺はすぐに気付いたね。これは狙っとりますなと。
サードの選手も多少2塁を牽制しながらのスローイングですけど、1塁まで距離があるところでしたからね。
サードが投げた瞬間には、思いきり良くスタートを切っていた柴ちゃん。バッターランナーはアウトになり、タナシーから3塁にボールが送られる。
それがワンバウンド。逆シングルで捕りにいったショートのグラブをボールが弾いた。
カメラマン席に向かってボールが弾むのを見ながら、立ち上がった柴ちゃんは再度猛ダッシュ。最後は砂塵を巻き上げるようにしながらのスライディングを決め、リードを広げるホームインとなった。
いいですね。33歳の激走。まだまだセンターのポジションは譲らんという気迫を感じる。
「6回、1点差に詰め寄られた直後。ビクトリーズの攻撃は7番柴崎から始まります。今日は先制ホームランに先ほどはラッキーなツーベースから好走塁を見せて全得点の活躍です」
「ここはピッチャーが代わりましたけど、点を取った直後ですから、両チームにとって大切なイニングになりますよ」
「ビクトリーズの初年度入団選手としてファンからはお馴染み。ドラフト9位。群馬県出身12年目になります。ビクトリーズ外野陣の核。初球高めを1球見た後の2球目。………低めストレート叩いた!!
右中間、高く上がった!!大きな打球になっている!センター、ライトが下がる!下がる!柴崎、2本目のホームランか!?フェンス際、センター田所………捕れません!ボールが大きく跳ね返った!!
柴崎は速い速い!2塁を蹴る!………ボールはサードに送られますが、滑り込んでセーフ!!スリーベース!ホームラン、ツーベースときて、今度は右中間へ大きな打球のトリプル!3安打、猛打賞。京野菜の特選ぬか漬けセットをゲットです、柴崎!」
「ナイスバッティングですね。柴崎という選手は若干腰が少し早く開く打ち方をするんですけど、今のはしっかり腰の開きを我慢してバットが出て来ましたから強く叩けましたよね」
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