第6話マットの初仕事
ドエル様に言われた通り、元々犯罪等に使用されていた土地や建物を扱う国立不動産商会までやって来た。
「ようこそいらっしゃいました。こちらにお座りください」
優しそうな店員に案内され席に座った。
「それで本日はどのような物件をお探しで?」
「はい。以前奴隷売買に使用されていた地下売買場を購入したくて。」
「なるほど。それでしたらたくさんございますが、他にご希望はありますか?」
「あとは、なるべく大きい所がいいのですが…。」
「でしたら一番大きい場所ですと、この王都東側にあるこちらはいかがですか?」
それは、以前奴隷売買で名を挙げていた組織が長年使用してた場所であり、とても有名な場所であった。
「こちらは未だに売れたことすらないので、今回お求め頂けるのであればお安くさせて頂きます」
「では、そちらでお願いします」
「!!本当に宜しいので?」
「はい。ここでお願い致します」
「かしこまりました。すぐに売買契約書類をお持ちします」
ふぅ。なんとかすぐに決まってよかった。それにしてもドエル様は何をなさるつもりなんだろう。それが分からずずっと考えている。まあドエル様にいい報告が出来るならいいかと考えることをやめた。
「こちらが書類になります」
持ってきた書類を確認しサインをして建物を後にした。
**************
商会に戻ってくるとまだネネさんが掃除をしていたので、ドエル様もいないことからそれを手伝うことにした。
「ネネさん手伝います。何をすればいいですか?」
「マットさんありがとうございます。では、会長室の椅子や机の設置をお願いします!私1人では、力不足で出来なかったので。」
「わかりました。ドエル様が戻り次第僕が呼んでるとお伝えください!」
「分かりました」
それから、会長室に物を設置して、
「ふぅー。終わった。結構いい配置な気がする」
「マットお疲れ」
声を掛けられ後ろを向くとドエル様がいた。
「お疲れ様です。買い物も無事終わりました」
「お!よかった。高かった?」
「いえ。ずっと買い手がいなかったみたいで安くして貰えました」
「それはよかった。ありがとうマット」
「いえ。仕事ですので」
「じゃあその場所を見に行こうか」
「今からですか?」
「え!?明日に決まってるじゃん!このあとは、みんなでうちにおいでよ!みんなで話しながらご飯でも食べよう!」
「いいですね」
「じゃそう言うことでみんな呼んできて!」
「はい!分かりました」
マットは走って部屋を出ていった。
*************
「お帰りなさいませ。ドエル様」
「ただいま。ユウナ。この人たちとご飯にするから準備をお願い」
「かしこまりました」
ユウナに夕食の準備をお願いして、部屋にみんなで向かって廊下を歩いていると、奥から人が来た。兄さんだ。
「あれドエルじゃん!商会立ち上げたんだってな!頑張れよ」
「お久しぶりです!ドッチ兄さん。こちらはドッチ兄さん。俺の一番上の兄さんだ。それで兄さんこちらが、俺の商会で働いてくれるみんなだ」
「従業員か。こいつは頭いいけどまだ子供だから面倒見てやってくれ!頼むわ」
そう言いながら会うたびに頭をわしゃわしゃするのは、やめて欲しい。
「「はい!お任せください」」「是」
「じゃまた」
そう言い残しまた歩いて行った。
みんなを部屋へ案内して少し待つとユウナと数人のメイドが料理を持ってきたので夕食にすることにした。
「気にせず好きに食べてくれ」
「「ありがとうございます。頂きます」」
「是、感謝」
「所でさ、軽く自己紹介してよ!面接の時とは違ってラフな感じでさ」
「では私から。ネネと言います。歳は言いません。出身は、エルフの森
です。趣味は、最近流行りの演劇です。彼氏は、いません。これぐらいで宜しいでしょうか?」
「うん!いいよ。次、マットね」
「はい。ご紹介あったようにマットと言います。歳は、23です。出身は、ここ王都です。趣味は、特にないです。彼女は、いません。以上です。」
「我、ガイア。歳、93。出、忘却。趣味、無。
「みんなありがとう!最後は、俺だね。俺は、ドエル。5歳。それで、今日みんなを集めたのは、俺のやりたいことを伝えておこうかなと思って。俺は、後々この世界に格闘技を普及しようと思ってる」
「格闘技?とは何ですか?」
「格闘技とは、一つのお祭りとして人と人が殴り合って勝者を決めるものさ。」
「何ですかそれは。とても物騒じゃないですか!」
「マットの言う通りだけど、もちろんそれに伴ってルールはしっかりと設けるよ。見てもらうのが一番早いと思うからさ、早速来週くらいには1回目の地下格闘技大会を開催しようと思うんだよね」
「なるほど!そのための地下売買場なのですね」
「そう!それに、俺の方でスラム街に行って人は集めてきたから、あとはどうやって人を集めるか何だけど。いい案ある?」
「えーっとそうですね。ここはやはりドエル様のお父様のお力をお借りするのが最善ではないでしょうか。」
「やっぱそうだよね。一応父さんには、スポンサーとして資金提供の約束は取り付けてはあるんだけど。最初のうちは、集客も手伝ってもらうか。よし!そうしよう。そんで大会の挨拶もお願いしよう!」
「挨拶ですか?」
「うん!」
そして、俺は3人にスポンサーとは何なのかを説明した。
「そんな画期的な仕組みを5歳の子が思いつくなんてあなたは天才ですか?」
「分かんないけど、一旦父さんにお願いしてみる。あと、当日の流れも考えておくからまとまったらネネに伝えるわ」
「分かりました」
「そんでマットには、地下の格闘技場に用意してもらいたいものがある」
そう言って俺は、マットに用意して貰うものを伝え、今日の夕食会はお開きとなった。
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