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「で? それで付き合うことになったの? 橋坂輝基くんと」
帰り道。
空がオレンジと群青の入り混じった綺麗なプリズムに染まる頃。
私の隣で、そう言ってニヤニヤするのは、私の親友の、伊坂マリエだ。
マリエには、私が夏休み、余命宣告を受けたことも話している。
電話の向こうでワンワン泣かれて、ちょっと戸惑っちゃったのが半分。そしてその気持ちと同時に、こんな親友ができたなら、私の人生、間違ってなかったとも思った。
自分のことをここまで想ってくれるだなんて、ありがたいことこの上なしだ。
「付き合う……のかな。よくわかんない。なんか、勢いにおされちゃったって感じ」
「もうこの際だから言うけどさ〜、橋坂くん、授業中とかめっちゃ、空のこと見てたよ」
「えぇえっ⁉」
「誰が見ても、惚れてるってわかるくらい」
思わず口元をおさえた。
「まっ。空の先輩への想いが、段々と橋坂くんの方に向いていくようなら。クラスメイトとして、全力で応援して差し上げますわ」
「親友として、じゃないんだ」
あんなに泣いてたくせに〜! とマリエをからかうと、彼女は少し怒ったように、そしてそれから一転、また泣きそうな表情をした。
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