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──『ずっと好きでした。私と付き合ってください 二年一組 宇佐見空』
「──…………えっ。宇佐見さんって……俺のこと……好き、なの?」
どぅおええええぇえええい!(発狂)
ラブレター入れる靴箱間違えたァァァ!
ここは二年生の靴箱だよ!
先輩は三年生だから、もう一列となり!
ああんもう、私の馬鹿……。
ついいつもの癖で、自分の学年の靴箱に来ていたみたい……。
私が昨夜書いたラブレターを手にして固まっているのは、授業中には必ず発言することで有名な同じクラスの、THE☆真面目系男子。
成績優秀且つ、塩顔のイケメンとして女子から密かに人気があるのを私は知っている。
──「いや……あのね。そのラブレターは、橋坂くん宛じゃなくて、先輩に向けて書いたもので……」
誤解を解くこの一言が、言えない。
だって。
橋坂くんの目が、これ以上ないくらいにキラキラしはじめたからだ。
爛々と。それはもう光るを通り越して、輝くように。
「俺ら、両想いじゃん!」
橋坂くんに、ぎゅうっと強く、手を握られる。
ああ、やっぱりそうきたか。
橋坂くんって、私のこと、こんなに好きだったんだ。
知らなかった。
でももう私、あと何日かで死んじゃうんだよ。
「ととと、とりあえず今日から、俺と一緒に登下校しよう。宇佐見さんのこと、もっと知りたいし。……あっ! でも、別れ際とかほんと、何もしないから安心して! 無理矢理抱き寄せてチューとか絶対しないから! 俺、そんなケダモノじゃないからね⁉」
「そんなこと私もまだ考えてもいないよ」
「ああああでもっ! 付き合い長くなるとそういうことも視野に入れて登下校しないとだよな⁉ どうしよう、俺。ずっと好きだった宇佐見さんと親しくなるにつれ、きっと増すであろう愛おしさに我慢できるのか……⁉ 理性がバクハツする気しかしねーんだけど!」
「落ち着いて橋坂くん」
「好きだ、宇佐見さん」
「シンプルだね」
ぷっ、と、どちらからともなく二人で吹き出した。
朝の昇降口で、二人、あははと笑い合う。
あれ、意外と面白いな。橋坂くんは。
私が好きな、クールな橋坂先輩とは大違いかも。
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