2
心臓移植手術は、日本ではドナーが足りず、海外で受けるのが一般的だそうだ。
けれど、私に告げられた余命はもってあと一ヶ月。
今から準備したんじゃ到底、間に合うわけがない。
絶望に包まれるリビングをあとにし、自室に戻って一人になって、色々考えたのちに。
私がまず行動したのは、ラブレターを書くことだった。
白いレースのウサギの便箋に、綺麗な水色のガラスペン。丁寧な字で綴ったそれは。
『ずっと好きでした。私と付き合ってください 二年一組 宇佐見空』
まさに、シンプル・イズ・ベスト。
無駄なことは省いて至極ストレートに。
長文を書こうとしようものなら、きっと私のことだ。
いらんこと書いて墓穴を掘ってしまうに違いない。
こういうのは、きっと、あれこれひねって書くものじゃあないのだ。
『付き合ってください』だなんて、もうすぐ死んじゃう私が、書くべきじゃないのもわかってる。
けれど。でも。だけど。
きっとこれが最後の恋になるからと、少しくらいのワガママも通らないなんて酷すぎる、と。
そう自分に言い聞かせている、幼すぎる私がいる。
私の想い人──橋坂壮太先輩に、この恋心は伝わるのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます