第11話 耳元の囁き、心の暴走3
私が湯船につかってから少しして、部屋のほうでドタドタと音がする。慧くんどう思ったかな。歳のわりに貧相な体つきで幻滅したかもしれない。覚悟を決めるのに時間がかかったのかしら。下の毛は整えるくらいしか手入れしてないのダメだったのかな。こんなことなら全部剃っておけばよかったのかも。酔いによって増幅された不安が頭の中でぐるぐる回っていると、浴室のドアがノックされ、すぐさま開いた。
「し、失礼します」
慧くんの声から緊張感が伝わってくる。湯船の中で足をかかえるように座っているので、私の裸は見られない。そのため、多少恥ずかしさは減ったこともあり、恐る恐る慧くんのほうをちらっと見た。でっか。いやいや、見間違いかもしれない。そう、こんな年増の裸に興奮するわけないよね。いや、うん、でっかい。見間違いじゃなかった。慧くんの慧くんは、私が思っていた以上に大きくなっていた。
「お、俺も入る、入ります、ね」
ぎこちない言葉から慧くんの緊張が伝わってきて嬉しい。私が小さく頷くと慧くんも湯船に入ってきた。そっと近づいてくると、私をまた後ろから抱きしめてくる。後ろから抱きしめるのが好きなのかな。
片腕は先ほどと同じように首元に回され、肩を掴まれる。そして、もう一方の腕は腹部に回され、体を引き寄せられた。
「お、お腹ぷにぷにしてるから……」
「志穂さんのお腹、すべすべしてる」
慧くんの言葉がぜんぶ嬉しくなってしまう。我ながらこんなにチョロかっただろうか。
「あ、あたっ……」
そんな考えも、背中に当たる慧くんの怒張の硬さと大きさに吹き飛んでしまう。これは私の体で興奮してくれているんだろうか。そろそろ40歳に手が届くおばさんの体に、10歳も年下の男の子が反応してくれているんだろうか。そうだったら、これ以上なく嬉しい。
「志穂さんが可愛すぎるから」
耳元で囁かれると、体が小刻みに震えてしまう。囁かれているだけなのに。性感帯も触られていないのに、年下の男の子にいいようにされては沽券に関わる。
私は、慧くんの腕の中でなんとか体を横に向けると、おもむろにキスをした。
「え……」
「慧くんがいけないのよ。おばさんに期待させるようなことをするから」
驚いた表情をする慧くんを前にいじわるそうな笑みを見せると、再び口付けをする。次は舌を絡める濃厚な口付けだ。慧くんが拒否してもやめてやらないんだから。しかし、私の思いはいい意味で裏切られた。慧くんも舌をのばして絡めてくれたのだ。嬉しい。これっきりで関係が終わってしまうことがわかっているからこそ、酔いも手伝って私は大胆になっていた。
「ん……は……ふ、ん……」
「……し、志穂さ……んっ」
据え膳食わねばなんとやら。私に好きって言ってしまった慧くんが悪いのだ。いつの間にか名前呼びになってるし。こんな女たらしな部下は、きっちり躾けなければ。
慧くんが何かしゃべろうとするのを唇で塞ぎ、片手で慧くんの硬く大きくなった怒張に触れる。亀の頭のような部分を優しく撫で、竿を掴んで上下にしごき、根本にある2つの玉を優しく揉む。昔の彼氏にやって喜ばれたことだ。きっと慧くんも喜んでくれるはず。
「志穂、さん…しほ、さ……も、もう」
昔の彼氏よりは粘ったと思うが、慧くんはギブアップを伝えてくる。でも、私はやめない。慧くんの腕から力が抜け、腰がぶるりと震えたタイミングを見計らって、体を離す。そして、慧くんの腰をかかるようにして持ち上げると、お湯から顔を出した慧くんの怒張を口に加え、舌で先端の割れ目を優しくくすぐると、すぐにどろっとした液が噴出してきた。
「え?……あ、ちょ、しほさん!?」
記憶にある昔の彼氏より勢いも量も多い。液の勢いが弱まったころ、少し強めに吸って竿に残っているものを吸い出す。そして、どろっとした液を口に溜めたまま、慧くんの怒張から口を離す
そのまま、ゆっくりと鼻で呼吸する。口の中にあるどろっとした液の生臭さに、今まで蓋をしてきた感情がこぼれ落ちてきたのを感じる。
「し、しほさん……?」
力が抜けてぼんやりした表情の慧くんに向けて口を開ける。中に溜めたどろっとした液がこぼれないように気をつけて。
「し、志穂さん、何を?」
慧くんは、私の口の中にあるどろっとした液が自らが出したものだと気づいたようだ。困惑した表情を浮かべている。
私は口を閉じると、どろっとした液をテイスティングするように口の中全体で味わう。舌をつかって混ぜたり、うがいをするようにクチュクチュしたり。このまましばらく味わっていたかったが、慧くんが止めてきそうだったので、もったいないが飲み込んだ。ごくりと喉を鳴らして、慧くんの出したどろっとした液を全部飲み込んだ。
「志穂さん、まさか?」
「……ん?そのまさかだよ。慧くん、ごちそうさま。とっても濃くて美味しかった」
「本気?」
「ええ、もちろん。あ、歯磨きするまでキスはしな……っ!」
仕事のできるイケメンの部下の味。これっきりになるのだろうからもっと味わいたかったというのが本心であるが、吐き出させられてはもったいない。
だが、飲み込んでから思い出した。これをすると、昔の彼氏はキスを嫌がったのだった。だから慧くんも嫌がるだろうと思い、キスをしなくていいと言おうとした途端、唇を奪われた。しかも、舌を絡めるおまけ付きで。
思っても見なかった出来事に心がついていかない。
「……苦っ……こんなの、美味しくないでしょ」
「慧くんの、だから」
唇を離し、疑わしげな表情をする慧くん。だが、私の顔を見て、なんとも言えない表情になる。慧くんの体越しにある鏡に映った私の顔は、私自身が見惚れるほど恍惚としたものだった。
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