第6話 野外フェスの狂騒
**横浜郊外**
タカとユージがレース場に向かう途中、車のラジオから流れてくるニュースが耳に入った。
「本日、横浜市内で行われている野外フェスにおいて、突如火事が発生しました。現在、消防が現場に出動しており、被害状況の確認が急がれています…」
タカはハンドルを握りしめたまま、険しい表情でユージに目をやった。「何か、嫌な予感がする…」
「だが、俺たちが行くべき場所は別だろ?」ユージはレース場のチケットを手に、考え込むように言った。
「それもそうだが…この火事、ただの事故じゃない気がする。」タカの勘は鋭かった。
その時、彼らの携帯が同時に震えた。タカが素早く画面を確認すると、そこには情報屋 **陶** (片桐竜次)からのメッセージが表示されていた。
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**メッセージ:**
「野外フェスの火事は、例の無認可施設に関連しているらしい。お前たちが探している奴らの手がかりはそっちにある。レース場に行く前にフェスに寄れ。詳しくは現場で。」
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「陶からの情報だ。」タカはメッセージをユージに見せた。「やはり、この火事には裏がある。」
「わかった、行こう。」ユージもすぐに決断し、車の進路を変更した。
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**野外フェスの会場**
タカとユージが現場に到着すると、すでに火事は消し止められていたが、あたりは混乱状態だった。観客たちは避難し、警察も到着して捜査を開始していた。
「陶の情報通りだな…だが、奴はどこにいる?」タカが周囲を見渡しながら呟いた。
すると、奥の方から陶が現れ、二人に手を振った。「こっちだ!」
タカとユージが駆け寄ると、陶は落ち着いた様子で話し始めた。「無認可の医療施設が、このフェスに関わっている。お前たちが追っている連中が、その施設を利用しているらしい。」
「無認可の医療施設…?」ユージが疑問を口にする。
「ああ、法の目を逃れた連中が患者を治療している施設だ。だが、それは表向きだ。実際はもっと危険なことをやっている。」陶の言葉には重みがあった。
「その施設の場所は?」タカがさらに突っ込んで尋ねる。
「野外フェスのすぐ裏手にある。この火事も、その施設が関わっている可能性が高い。お前たちが探している連中、特にギースの手下がここに出入りしているという情報もある。」陶は少し考え込んでから続けた。「それと、もう一つ…フェスの会場内に**リアル脱出ゲーム**がある。そこが連中の集まり場だという噂がある。」
「リアル脱出ゲームだと?」タカが驚いた表情を見せる。
「そうだ。おそらく、ゲームに見せかけて何か裏取引が行われているんだろう。」陶は冷静に分析した。
「時間がないな。すぐに動こう。」ユージが前に進み出た。
「陶、助かった。」タカが感謝を示すと、陶は軽く頷いてその場を去った。
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**リアル脱出ゲーム: 会場内**
タカとユージがゲーム会場に入ると、周囲はまさにフェスの熱気に包まれていた。だが、会場の裏手に回ると、妙に静かな空間が広がっていた。そこには一見普通のリアル脱出ゲームの入り口があったが、二人は警戒を怠らなかった。
「行こう。」タカが一言呟き、扉を押し開けた。
中は暗く、迷路のような通路が続いていた。壁には不気味な絵が描かれ、薄暗い照明が影を作り出していた。だが、二人は迷わず奥へと進んだ。
突然、背後から人の気配がした。振り返ると、暗闇の中から数人の男たちが現れた。彼らはギースの手下だ。
「ここまで来たか…だが、ここで終わりだ!」一人の男が叫び、タカに飛びかかった。
しかし、タカは即座に反応し、男を床に押し倒した。**馬乗り**になって容赦なく拳を叩き込む。
「これが俺のやり方だ!」タカが叫び、最後の一撃で男を気絶させた。
その間にユージは他の男たちと激しく戦っていた。狭い通路の中での格闘は激しさを増していたが、二人は決して引かなかった。
「タカ、急げ!」ユージが声を上げた。
タカは最後の男を倒し、ユージとともに奥へと進んだ。すると、そこには大きな金庫が現れた。スイス銀行のものだと一目で分かった。
「ここが奴らの隠し場所か…」タカは呟きながら金庫を見つめた。
「開けるぞ。」ユージが言い、二人は慎重に金庫の扉を開けた。
中には、膨大な現金と一緒に秘密文書が詰まっていた。だが、彼らが驚いたのは、それだけではなかった。
「これは…」タカが手に取った文書には、ギースと西園寺の名前が並んでいた。さらに、その文書には、次なる計画についての詳細が記されていた。
「奴らの計画がここにある。これを持ち帰れば、奴らを一網打尽にできる。」ユージが笑みを浮かべた。
「だが、油断は禁物だ。奴らがすぐに動くはずだ。」タカは文書を手にしながら言った。
その時、背後で大きな爆発音が響き渡った。振り返ると、リアル脱出ゲームの会場が炎に包まれていた。
「急げ、ここはもう持たない!」タカが叫び、二人は急いで外へと逃げ出した。
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**外の空気**
タカとユージが無事に会場から脱出した時、遠くからフェスの騒音と共に、陶が彼らを迎えに来ていた。
「どうだった?」陶が心配そうに尋ねた。
「全て揃った。これで奴らを潰せる。」タカが文書を見せながら言った。
「だが、次は西園寺が動き出すはずだ。奴が背後で全てを操っている…」ユージが冷静に言いながら、次なる戦いに向けて準備を進める意志を見せた。
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次章へ続く…
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