第5話 石川町の追跡

**石川町駅**


カジノ内での激しい戦闘を後にして、タカとユージは石川町駅に向かっていた。ギースが逃走を図り、電車での移動を計画しているとの情報を掴んだからだ。


「奴をここで仕留めないと、もっと厄介なことになる。」タカが車内で険しい顔を見せる。


「大丈夫さ、タカ。俺たちがいる限り、逃がしはしない。」ユージはハンドルを握りしめ、ロールスロイスを駆け抜けさせた。


駅に到着すると、二人は素早くホームへと走り込んだ。人混みの中で、ギースの姿を探しながら歩を進めていると、突然、背後から声がかかった。


「おい、そこのアンタたち!」


振り返ると、そこには **木の実ナナ** が立っていた。彼女は何やらルームキーを手にしていたが、その目はタカたちを鋭く見据えていた。


「何をしているんだい、こんなところで?」彼女は不審そうに二人を見ている。


「木の実さん、今それどころじゃないんです!」ユージが慌てて応じるが、木の実ナナは微笑んでから一歩前に出た。


「石川町で何かが起きてるってのは、すぐにわかるさ。でも、今は私の出番だよ。」彼女はルームキーを手にしながら、何かを思案している様子だった。


「木の実さん…」タカがさらに説明しようとしたが、その時、視界の端にギースの姿が映った。奴はホームの端で電車に乗り込もうとしていた。


「そこだ!」タカは叫びながら走り出し、ユージもそれに続いた。しかし、突然、木の実ナナが二人の前に立ちはだかり、強引にタカの腕を掴んだ。


「待ちな!まだ奴にたどり着けないよ。」


驚いたタカは一瞬ためらったが、その時、木の実ナナがポケットから何かを取り出し、タカに渡した。それは**キーマカレーの小さな容器**だった。


「これが鍵さ。」彼女は意味深に笑いながら言った。


「木の実さん、一体…?」ユージが尋ねるも、木の実ナナはそれ以上何も言わず、タカの手を離した。


「急ぎな、時間がないよ。」そう言い残して、木の実ナナは背を向け、どこかへ消えていった。


「タカ、どうする?」ユージが急かす。


「行くしかないさ。」タカは決心し、再びギースを追って走り出した。


---


**ホームの先端**


ギースは電車に乗り込もうとしていたが、振り返りタカとユージが迫ってくるのを見て、口元に冷笑を浮かべた。


「追いつけるものなら追ってこい…」ギースはそう呟きながら、電車のドアが閉まる寸前に飛び乗った。


タカとユージも間一髪で車内に飛び込んだが、すぐにギースは車両の端に向かって逃げ始めた。


「奴を逃がすな!」タカが叫び、二人は車両内を疾走した。


その時、突然車内の乗客たちがパニックになり、あちこちで騒ぎが起きた。ギースは乗客を盾にして、タカたちを振り切ろうと必死だった。


「逃がすか!」ユージが叫び、ギースに殴りかかろうとしたが、ギースは素早くかわし、反撃の構えを見せた。


だが、タカがユージをサポートする形で、ギースの顔面に強烈なパンチを食らわせた。「これで終わりだ!」


ギースはよろめきながら、乗客の中に倒れ込み、ついに捕まった。しかし、ギースはにやりと笑った。


「これで終わりじゃないさ…俺たちの計画は、まだ始まったばかりだ。」


その言葉を残し、ギースは何かを掴もうと手を伸ばしたが、タカが素早く彼の手を押さえつけた。


「計画?何のことだ!」タカが怒りの声を上げたが、ギースはそれ以上何も言わず、無言でタカを見つめていた。


その時、タカの胸ポケットに木の実ナナから受け取ったキーマカレーの容器が目に入った。タカはそれを取り出し、じっと見つめた。


「これは…ただのカレーじゃない。」タカは呟きながら、容器を慎重に開けた。中には何かが隠されていた。それは、小さなメモと…一枚のレースのチケットだった。


「レースのチケット?何の意味が…」ユージが不思議そうに見つめる。


「このチケットが次の手がかりだ。」タカは決意を新たに、ギースを厳しく睨んだ。「まだ終わっていない。奴らの背後には何があるのか、突き止めなければならない。」


---


**レース場: 次なる戦いの舞台**


その夜、タカとユージは次の手がかりを求めて、横浜の外れにあるレース場に向かう。そこには、巨大な陰謀とさらなる危険が待ち受けていた。


彼らが向かう先には、新たな敵と、そして驚愕の真実が待っている。そして、その背後には、再び姿を現す**西園寺真一**の影が忍び寄っていた…。


---


次章へ続く…

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